本年度の河川事業 大野築堤で樋管工事 事業費に2.8倍増の約50億円(常陸河川国道)

[2019/4/25 茨城版]
 国土交通省常陸河川国道事務所の19年度河川事業は、事業費が49億5500万円となり、前年度当初(17億4700万円)から183.6%増加した。本年度は久慈川・那珂川の各地区の「水害に強い川づくり」に向けて、無堤区間の堤防整備や災害時の水防活動・復旧対応の拠点となる河川防災ステーションの整備を行う。また、「平成30年7月豪雨」などの近年の災害を踏まえて実施した重要インフラの緊急点検結果に基づき、洪水時の危険性に関する緊急対策として久慈川・那珂川の各地区において、緊急的に河道掘削、樹木伐採などを実施し、早期に地域の安全性の向上を図っていく。

 事業費の内訳は、久慈川に17億4600万円、那珂川に29億5800万円の河川改修費を確保したほか、総合水系環境整備事業では久慈川に400万円、那珂川に2億4700万円を予算化した。

 主な河川事業のうち、久慈川では辰ノ口築堤や小島河川防災ステーション、堅磐河道掘削などを進める。辰ノ口築堤は、常陸大宮市辰ノ口地区で1999年に発生した浸水被害などを受けて、無堤部や弱小堤が連続する区間(常陸大宮市富岡~辰ノ口)で14年度から築堤整備を進めている。本年度は用地補償などを予定している。

 小島河川防災ステーションは、久慈川の洪水被害を最小限にするため常陸太田市小島地区で、災害時の緊急復旧活動を行う上で必要な土砂やコンクリートブロックなどの資材備蓄や災害対策車両基地、ヘリポートなどの整備を行う。合わせて、常陸太田市が水防団の待機場所などになる水防センターを設置し、災害対応の拠点施設や周辺住民の一時的な避難場所とする。

 建設地は常陸那珂港山方線の木島大橋北側で、平常時は地域の自主防災会の防災活動などの訓練の場とするとともに、地域の交流・憩いの場としても活用する。18年度から盛土や用排水路整備などの基盤整備工事(長山工業が施工)に着手し、本年度も引き続き基盤整備などを進めていく。

 支流の里川と本川が合流する常陸太田市堅磐地区では、引き続き河道掘削工事などを進める。この地区では増水時に河道断面が不足し、出水時には計画高水位を超過したこともあるため、河道掘削や樹木の伐採による河道断面の拡大を行い、浸水被害の軽減を図っている。10年度に事業着手し、11年度から着工した。本年度も、引き続き河道掘削を行っていく。

 那珂川では、大野築堤や勝田築堤、戸多環境整備などを計画している。

 大野築堤は、堤防未整備箇所となっている那珂川下流の右岸部を対象に、浸水被害対策として堤防整備を行うもので、12年度に事業着手した。18年度には中大野地区で築堤などの工事に着手した。本年度は、19-20年度で中大野排水樋管新設工事などが計画され、第2四半期の発注を予定している。また、大野築堤の対岸となるひたちなか市勝田地区の勝田築堤は、無堤区間の堤防整備に向けた調査などを実施する。

 戸多環境整備では、那珂市のかわまちづくり計画を踏まえた基盤整備を進める。那珂市戸多地区の那珂川河川敷は、多目的広場としての利用や周辺資源とのネットワークにより、地域に賑わいをもたらし、地域の活性化が期待されている。かわまちづくり計画を踏まえ、安全で容易に利用できる魅力ある水辺空間整備を行い水辺利用の促進を図り、地域活性化を支援する。18年度は低水護岸整備(施工は松原建設)などを実施しており、本年度は掘削や盛土などの環境整備工事を計画して第2四半期の発注を予定している。

 このほか、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策では久慈川、那珂川の両河川で、「平成30年7月豪雨」などを踏まえた緊急対策として樹木伐採や河道掘削、人命を守る対策(法尻補強)などを実施する。

 以下、河川事業の主な事業概要は次の通り(※事業名=[1]場所[2]主な事業)。
【河川改修事業】
▽久慈川辰ノ口築堤=[1]常陸大宮市辰ノ口[2]用地補償など
▽久慈川小島河川防災ステーション=[1]常陸太田市小島[2]基盤整備など
▽久慈川堅磐河道掘削=[1]常陸太田市堅磐[2]河道掘削
▽那珂川大野築堤=[1]水戸市下大野~東大野[2]樋管新設、用地補償など
▽那珂川勝田築堤=[1]ひたちなか市三反田[2]調査など
【総合水系環境整備事業】
▽那珂川戸多環境整備=[1]那珂市戸多[2]基盤整備など
【河川維持修繕】
▽久慈川維持修繕=[1]直轄管理区間、本川(27.6km)、支川(里川9.7km、山田川10.5km)[2]堤防除草、護岸補修、塵芥処理など
▽那珂川維持修繕=[1]直轄管理区間、本川(85.5km、茨城県区間46.5km、栃木県区間39km)、支川(涸沼川8km、桜川4.2km、藤井川1.8km)[2]堤防除草、護岸補修、塵芥処理など

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