県農政部 下稲葉でICT活用工事 通常施工と比較、営農に活用へ
[2019/4/24 栃木版]
県農政部は、圃場整備の面工事にICT機器搭載の建設機械を活用した「情報化施工」の実証実験を行う。県土整備部がすでに芳賀町の芳賀遊水地の掘削工事等にICTを活用した土工事を実施しており、今後は農業農村整備にもICTを活用していこうというもの。県農地整備課によると、壬生町の下稲葉地区を対象に、情報化施工区域を計画しているとし、同じ面積の通常施工と比較して効率化等を分析、データを収集して国に報告するとした。農業担い手の高齢化や人手不足を解消するため、将来は無人化のトラクターなど営農にも活用していくという。
事業は農林水産省の低コスト農地整備推進実証事業。同省からの100%定額補助により事業を実施。県は実証実験で得られたデータを収集し同省に報告。同省がデータを基に検証を行う。
情報化施工に必要なICT機器は、人工衛星からの3D位置情報を受信するため、県は今年度ICT搭載建設機械リース費とGPS基地局の設置費を予算化した。
建設工事の施工管理に対応できる高度なGPS基地局を設置。人工衛星から3D位置情報の受信可能なICT搭載建設機械で整地工事を行い、運転経費や作業量などのデータを収集するとした。
圃場整備における面工事は通常、丁張りを設置したり、表土をはがし区画を整地するため建設機械で繰り返し均す必要がある。情報化施工では、丁張りを不要とし、建設機械もGPSシステムとPCで管理され、自動制御による無人化施工が可能となる。
実証事業で得られたデータやGPS基地局等の機器については事業完了後も、農作業機械での自動操舵運転などスマート農業を展開するため、活用するとした。田植えや稲刈りなど農業用機械により効率化が図られてきた本県農業だが、機械操作はいずれも有人化により運転手を必要としている。ICT活用のスマート農業は、特に代掻き作業に効果が高いとされ、北海道をはじめ全国的にも実用化が進んできたという。
実証事業を行う下稲葉地区は、小藪用水の受益地とともに、高低差の少ない平坦な圃場で全体で196.5haの区画整理工を実施する計画。標準区画を50aの大区画で施工し、将来はスーパー大区画化への対応も考慮、畦畔除去により1面の区画として利用できるよう傾斜のない均平区を採用している。昨年度から面工事に着手した。