苦竹ポンプ場 改築検討 公共下水道の地震対策(仙台市)
[2019/4/13 宮城版]
仙台市は、公共下水道の苦竹ポンプ場(雨水)を改築する方向で検討している。地震対策で耐震補強する計画で設計を進めた結果、水槽底板のコンクリートの厚みが現行基準の半分と薄く、全面補強が必要だと判明した。改築した場合の工事コストは補強工事した際とほぼ同額で、耐用年数や施工方法を検討して最終的な方針を決定する。
市は、昭和56年以前に建設されたポンプ場13カ所で地震対策を進めている。設備更新に合せ、土木本体と建築の補強工事を実施し18年末までに5つのポンプ場で耐震補強工事が完了した。苦竹ポンプ場は昨年度、日本水工設計(東北支社・仙台市青葉区)が設計をまとめた。
市は当初、設備更新工事と一括し、ポンプ場本体と建築の補強を行う計画だったが、設計結果を踏まえ、改築する方向で対策検討を進めている。設計では、本体コンクリートの鉄筋量と厚さが不足し、特に水槽底板のコンクリートが厚さ約40cmと薄いため、全面改修が必要だという結果になった。
現行基準の厚みは約80cm~100cmで、耐震補強では部分的な厚みや鉄筋不足を補強する場合が多い一方、全面補強で工事した場合、改築工事費とほほ同額だった。ポンプ設備の更新も同時に行うため、耐用年数と長寿命化の視点で今後、方針を決める。
同ポンプ場は、1970(昭和45年)に供用を開始。ポンプは口径700mmが1台、同500mmが2台。処理能力は毎分あたり120立方m。もとは合流式のポンプ場だったが、周辺の汚水管ルートの見直しに合せ現在は雨水ポンプ場として機能している。
地震対策は、現行の中期経営計画(2016~20年度)で対策工事を実施する見通し。次期計画では別途、18年度から調査に着手した23カ所のポンプ場を対象に、診断結果を踏まえた対策工事を盛り込む。