樋門の設計・工事を発注 越流堤設計も着手 19年度の長沼川放水路整備(県東部土木登米)
県東部土木事務所登米地域事務所は登米市迫町などに整備している長沼川放水路に関し、2019年度は排水樋門の設計を固め、工事発注まで行う方針だ。同放水路の整備によって分断してしまう登米市保有の雨水排水路について、補償工事として吐き口に樋門を建設する。放水路については佐沼環境浄化センターの西側に遊水地を整備することにしており、そこに設置する越流堤の設計を第2四半期に委託する。(別表参照)
長沼川放水路は流下能力が低い長沼川の洪水対策として、流れを分水するために掘削している。迫町佐沼字大網地区内で長沼川を分水し、南東側の南方町寺袋地区に向けて延長1540mを掘削する。放水路の下流側には登米市の佐沼環境浄化センターがあり、その付近で迫川に合流させて雨水を放流する。
放水路の断面は、下幅が約14~15mになる見通し。終点側では掘削工事が進んでおり、迫川との合流地点には排水樋門も整備された。本年度は放水路の掘削をさらに推進するとともに、放水路の掘削によって分断してしまう登米市保有の雨水排水路について、樋門整備に向けた設計をまとめていく。
放水路の整備地付近は雨水の排水効率が悪く、登米市も雨水排水路の改修を行っている。特に冠水被害が起きやすい登米合同庁舎付近(迫町大東)では、雨水の排水ルートを見直し、佐沼環境浄化センター方面に新排水路1000mを整備している。登米市の排水計画では、県が整備する長沼川放水路に排水路を接続し、雨水を放流することにしている。
長沼川放水路の整備によって分断してしまう登米市の排水路については、吐き口に設置する排水樋門を県が補償工事として建設する。本年度は佐沼環境浄化センターの敷地の南側に設置する樋門などの設計業務を委託する。
設計業務の初弾として、県東部土木事務所登米地域事務所は「長沼川排水樋門詳細設計業務委託その2」の一般競争入札を、8日に公告した。同業務は2月に一般競争入札を公告したが、入札調書に錯誤があったため、開札を中止した。再公告では設計単価の入れ替えにより、予定価格が1890万2000円に引き上げられた。業務の内容に大きな変更はない。
入札の参加対象は、県の入札資格のうち建設コンサルタントの「鋼構造およびコンクリートA等級」と「河川、砂防および海岸・海洋A等級」、「土質および基礎A等級」のすべてに登録している事業者。県内に本社や営業所がなくてはならない。22日まで入札参加申請書を受け付ける。開札は25日(総合評価)。
同業務では佐沼環境浄化センターの敷地南側で分断してしまう排水路について、吐き口に設置する排水樋門の予備設計および詳細設計などをまとめる。現段階で樋門の断面は、1m×1m程度を想定している。履行期間は9月27日まで。
樋門の設計については、第2四半期にも「長沼川排水樋門詳細設計ほか業務委託」を発注する方針。長沼川放水路は登米市保有の排水路を数カ所で分断することになるため、さらに上流側の樋門設置箇所についても設計を進める。
これらの設計を経て、同事務所は第2四半期に「長沼川排水樋門工事」の一般競争入札を公告する予定。樋門2カ所の工事を発注する。概算工事規模は1000万~1億円を見込む。
長沼川の洪水対策では、放水路の左岸側となる佐沼環境浄化センターの西側に、遊水地を整備する。遊水地と放水路が接する地点には、増水した水を遊水地に引き込むための越流堤を建設する。県はすでに、同浄化センターの西側の土地を取得した。第2四半期に越流堤などの設計業務を委託し、延長など詳細を検討していく。