売却・貸付も視野に協議 旧庁舎の跡地活用検討(習志野市)
[2019/3/22 千葉版]
委員全員に委嘱状の交付を終えた宮本市長は、1964年に開かれた先の東京五輪の年に完成した旧庁舎の処遇を今回検討するのは「何かの縁を感じる」としながら、これまでの経緯を説明。「この間に市の様子も大きく変わった」とし、今後生産年齢人口の大幅な減少が見込まれる中、市が財源確保に取り組んでいることに理解を求めるとともに、忌たんのない意見を出し合うよう委員らに求めた。
委員長に公認会計士の吉田恵美氏を選出して始まった議事では、19年度は委員会の開催に並行し、旧庁舎の残る部分に計画する擁壁の設計を進めること、年度後半には旧本庁舎と旧市民課棟の解体工事に着工し、20年度の完了を目指すなど、市で予定するスケジュールなどに加え、旧庁舎の建物や土地の概要、土地の利用条件などについて説明があった。
市は同検討委の役割として「将来にわたる持続可能なまちづくりに資する財源化」を前提に、その有効活用を検討するものとし、その目的達成に当たり▽有効活用に係る基本的理念に関すること▽その基本的理念に応じた活用方法に関すること──をゴールに定めている。
市では先に策定した市の公共施設再生計画の中で、原則売却や貸付による財源化と、地域が便利になり、エリアの価値を高める利用の仕方を十分検討し、できるだけ民間活力の導入により有効活用を導入することを方針として掲げており、旧庁舎の跡地についてもこの方針の下で検討するとし、同検討委に先立つ庁内での検討会議で、売却を基本路線とする、または売却して一部を賃借した上で集会所や児童館、公園などといった公共施設を併設させること、特別養護老人ホームの整備、不足している都市公園面積の確保、集会室や貸しスペースなど市民が利用できる施設のほか、将来建て替えが計画される先沼小学校の臨時運動用地とする案などがあったことが紹介された。
議事では検討委による取りまとめを受けて、20年度に庁内で検討した上で事業者の選定に入るスケジュールも示されたが、初めに答えありきだと懸念を示す委員の声もあった。
旧庁舎の敷地は1万0,552平方mで、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた、RC造地下1階地上7階建て延べ4,971平方mの旧庁舎と、70年完成のRC造2階建て延べ1,889平方mの旧市民課棟が、2012年の閉庁後も残されている。用途地域は現在、第二種住居地域となっているため、映画館や1万平方mを超える店舗などは建設できない。