スタンド建替や入場門新設 船橋競馬場を大改修へ(県競馬組合)
[2019/3/19 千葉版]
船橋市で船橋競馬場を運営する県競馬組合は、2019年度から23年度までの5カ年を計画期間とする「船橋競馬経営計画」(Advance2023)をまとめた。13年度まで赤字経営が続くなど、これまで収支改善が優先されてきたが、累積赤字が解消するなどしたことなどを受け、これまで遅れていた施設の改修に着手することとし、老朽化したスタンドの解体や建て替え、入場門の新設などを図ることなどが盛り込まれており、工事費として約100億円を概算している。
「次代の価値共創を目指して」の副題が付けられた同計画は、同競馬場の運営に当たって最上位に位置するもの。毎年度ローリングして見直しを図るとともに、中間の22年度には中間見直しも予定する。
経営目標の達成に向けた施策の方向性として同計画では▽本場入場者数の増加▽経営の安定と地方財政への貢献▽施設改善の推進▽安定的な業務運営の確立▽強い馬づくりの推進▽競馬の公正確保──の6つに取り組んでいくとした。
このうち「施設改善の推進」では、競馬の初心者や若者、女性、家族連れが入場しやすく、従来からの競馬ファンも楽しめる施設を目指すとし、1日の平均入場者数が3,000人、電話投票の売り上げが7割という現状も踏まえ、具体的には1967年に完成、76年に増床された第1期スタンド(延べ1万1,701平方m)については解体、また69年完成の第2期スタンド(同7,054平方m)と、71年完成の第3期スタンド(同6,597平方m)は「コンパクトに」建て替えを図るとともに、事務棟や調整ルームも建て替える。
併せて、清潔なトイレや遊具の設置、バリアフリー化なども進め、施設の快適性を向上。滞在時間の延長やリピーターの増加を目指すとともに、競馬場に興味を持ってもらえるよう、近隣商業施設(ららぽーとなど)の買い物客を誘引できるよう、施設側に人目をひく入場門を新設(移設)することや、大型ビジョンの設置などを計画する。この際に、新スタンドや新入場門などのデザインコンセプトの統一も図る。
スタンドについては、座席を減らす一方で基本的にガラス張りとし、全面空調による快適な空間とする。このほか、大規模災害発生時などに避難施設にもなるよう、防災トイレやソーラー発電灯、かまどベンチ、揚水ポンプなど、ライフライン寸断時の防災機能を持たせるとした。
「強い馬づくり」に向けても、調教効果の向上と厩務員の負担軽減のため、トレッドミルやウォーキングマシンなど施設・設備の導入も検討。内走路や馴致走路の再整備、馬降場・待機馬房の新設、騎手が出入りする施設の馬房の配置の検討も進めていく。
県競馬組合は県と船橋市、習志野市で構成する一部事務組合。船橋競馬場は大井(東京都)と浦和(埼玉県)、川崎(神奈川県)とともに南関東4場の1つに数えられているが、他の施設に比べてこれまで老朽化が目立つなどしていた。