7ダム下流で浸水想定図 スピーカー改良や警報設備耐水化(県土整備部 )
【2019/3/9 栃木版】
県土整備部が所管する県内7ダムで下流域を対象に浸水想定図を作成し、下流域に設置され浸水が想定される警報設備の耐水化や沿川住民へダム放流を知らせる堤内地へのスピーカーの改良などが2019年度にも始まる。国土交通省の異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調節機能に関する検討会の提言を踏まえ、同省が必要な対策を予算化したもので、同部の2月補正予算案に盛り込まれた。県砂防水資源課によると、耐水化の必要な施設や警報設備の改良など、新たに作成する浸水想定図を基に現状を調査し対策を進めていく方針を示した。
同部所管のダムは、中禅寺(日光市)、三河沢(同)、塩原(那須塩原市)、寺山(矢板市)、西荒川(塩谷町)、東荒川(同)、松田川(足利市)-7カ所。浸水想定図は、県管理河川等で見直しを進めてきた洪水浸水想定区域図と同様に、想定し得る最大規模降雨に対応した基準で作成するもの。
想定している対象区間は、▽中禅寺ダムが中禅寺湖から霧降大橋まで▽三河沢ダムは同ダムから湯西川ダム合流まで▽塩原ダムは同ダムから国道4号下流のかさね橋まで(浸水想定区域図が無い区間)▽寺山ダムが同ダムから内川合流まで▽西荒川ダムは同ダムから荒川合流まで▽東荒川ダムは同ダムから主要地方道大田原氏家線新松島橋まで(浸水想定区域図が無い区間)▽松田川ダムでは同ダムから渡良瀬川合流まで-としている。
ダムの浸水想定図の作成を踏まえ、沿川市町は河川と同様にハザードマップを作成する。
警報設備は、いずれもダム管理所に警報装置を保有しているもの、中禅寺と松田川の2ダムには下流域などに装置を格納した施設がない。警報装置はダム放流等で30分以内に30センチ以上の河川水位の上昇が見込まれる河川等についてのみ設置されてきたためで、サイレンや放流を周知する職員などのスピーカーからの放送は河川敷内にいる人々の避難誘導に使う堤外地を対象としていた。
対策では、浸水想定図を基に、浸水の恐れのある沿川住民へ周知するため堤内地も対象エリアに加える。堤内地側への警報としてスピーカーの改良には、全7ダムが該当するとしている。また、異常洪水時防災操作を考慮した警報設備等の施設は、中禅寺、三河沢、寺山の各ダムを予定している。
警報施設の耐水化に当たっては、浸水想定図で浸水の恐れのあるエリアに設置された施設が対象。同施設に格納された設備・機器等を水没から守るため、設備の保護されているコンクリート壁などの嵩上げ、設備を内包している出入り口ドアなどの劣化部品の更新等による防水対策を実施していく見通し。警報施設の建屋(扉)の耐水対策では、中禅寺ダムを除く6ダムが該当するとしている。
豪雨時にはダムに流れ込む雨量と同じ水量を下流に放流するダム操作において、ゲリラ豪雨に代表される異常豪雨は、下流域への適切な情報伝達が重要。下流域への密度を高めた警報装置の整備とともに、松田川ダムでは土砂流入対策として斜面の安定化を目指したハード対策を計画している。
ダム下流への浸水想定図の作成や施設の耐水化、警報設備の改善の実施については5日の県議会予算特別委員会で、江連隆信県土整備部長が答えた。