統一閉所日の設定へ 6県や仙台市、業界連携 復興係数は継続(国交省東北整備局ら)
[2019/1/22 宮城版]
会議には、国交省や復興庁など国の機関と、宮城、岩手、福島、仙台の各自治体、建設業関連の7団体が参加。最初に各県や仙台市が復旧・復興の進捗状況を説明した。
村井嘉浩知事は20年度の復興事業完了と単なる復旧に留まらない創造的な復興をさらに進めるため、郡和子仙台市長は復興後を見据えた地下鉄の沿線開発や道路・橋梁・下水道などの長寿命化事業を円滑に進めるため、ともに「復興係数などの施工確保対策の継続」と「必要な予算の確実な措置」を求めた。
これを受けて石井国交相は「復興係数を継続することが復興事業を着実に進めるために重要という意見をもらった。復興係数を継続し、復興に向けて全力で取り組む」と発表。復興係数は被災3県の土木工事において予定価格を算出する際に、共通仮設費率に1.5、現場管理費率に1.2を乗じることで、間接工事費の支出増を補う。
東北整備局の新たな取り組みでは、監理技術者または主任技術者を対象とした「ICT土工活用証明書」や「週休2日実施証明書」の発行を、19年度から東北6県や仙台市にも拡大。これらの機関が発行した証明書を基に、東北整備局では次回入札時に総合評価で加点評価する。
週休2日に向けてはさらに、19年度から東北6県や仙台市、業界団体と連携して現場の「統一閉所日」を設定する。業界全体の意識改革を促す取り組みで、閉所が守れなかったとしてもペナルティを課すことは現時点で想定していないが、協力を求めていく。
このほか、19年度から東北地域版の「i-Construction大賞」を創設することや、土工(河川・道路)の設計にBIM/CIMの活用を原則化することなどを打ち出した。BIM/CIMによる設計成果は、ICT活用工事に生かす。
東北整備局が今後に具体化を目指す震災伝承の取り組みに関しては、各県や仙台市が伝承施設のネットワーク化に連携して当たることを表明した。
業界団体からは、東北建設業協会連合会の千葉嘉春会長が、東北の整備局や各自治体の「復興予算以外の通常予算が激減している」と危惧し、「東北地方の復興と持続的な発展のため通常予算を元に戻すこと」を求めた。
会議の終了後に石井国交相は「復興が着実に進んでいることを実感する一方で、昨年は全国各地で災害が頻発し、防災力の強化が喫緊の課題となっている」と述べ、「防災・減災、国土強じん化のための3カ年緊急対策に集中的に取り組む」と力を込めた。