18年の県内倒産整理状況 建設業22件の負債23.4億円 平成年間30年では1199件と最多
【2019/01/16 栃木版】
東京商工リサーチ宇都宮支店は、2018年(1~12月)の負債総額1000万円以上の県内企業倒産整理状況をまとめた。産業別では建設業が22件と前年に比べ4件増で、負債総額は10億円を超える大型倒産の発生も無く9億3200万円増の23億4000万円と件数に比例し純増となった。平成年間30年の倒産合計件数は4252件。業種別最多は建設業の1199件だった。同宇都宮支店によると、経営が危ぶまれている一部企業を除けば、倒産件数が増加する要因は見当たらない。建設業は資材価格の上昇に加え、外注業者の手配ができず、工期の遅れなど外部の不安要因を抱えているなどと懸念材料を示した。 =2面に年間業種別倒産状況一覧表
負債額における18年の倒産企業上位20社のうち建設業は、6位に負債額6億4800万円の新日本住研(宇都宮市)と9位には負債額4億5400万円で佐藤建設(那珂川町)。倒産理由はいずれも販売不振だった。不動産業では、7位が負債額6億円のリフレック(栃木市)、16位は3億4000万円のホノパワー(同)となり、関連企業等では、8位が負債額5億円のコンクリート製品製造の平渡コンクリート工業(足利市)、11位に小売業でタナカ大田原家具センター(大田原市)。倒産理由は、ホノパワーの設備投資過大を除き、販売不振となっている。
県内全体では103件で、前年に比べ12件の減少。負債総額の164億9200万円は前年に比べ30億1900万円減となった。前々年と比べると件数が34件の減少、負債総額も142億9200万円減少した。負債総額10億円以上の大型倒産は朋栄工業(宇都宮市)の1件で、1件当たりの平均負債額は1億6011万円、前年度に続き小口倒産が目立った。
18年の倒産件数は、平成年間で3番目に少ない件数。負債総額も同様に3番目に少ない金額となった。特に、3000万円以下の倒産の大半は、すでに事業を停止し債務整理を進めてきた中で、最終的に破産に至った事例が目立ち、従業員数も5人未満が69件に及んだほか、過去数年間と同様の傾向が見られた。
18年の倒産103件のうち販売不振が90件、形態別では破産が77件と圧倒的多数を占めた。業種別ではサービス業分類が28件(構成比27.2%)で、次いで建設業22件(同21.4%)、販売業(小売)分類が18件(同17.5%)、製造業17件(同16.5%)となった。負債総額では製造業の66億3100万円(構成比40.2%)、建設業が23億4000万円(同14.2%)と続き、件数トップのサービス業分類は20億8700万円(同12.7%)だった。建設業は、件数、負債額とも業種別で2位となっている。
平成年間30年では、倒産合計件数が4252件で、合計負債額は2兆5829億5600万円に上る。業種別最多は公共.民間投資の減少を背景に建設業の1199件、原因別では販売不振が2772件、地域別最多は宇都宮市の1221件となっている。合計従業員数では3万7050人で、1件当たり平均8.7人となった。
倒産件数上位にあった建設業は2010年以降、減少傾向を示し、13年以降は30件を下回っている。18年は負債5億円以上が新日本住研の1件に止まった。
同宇都宮支店によると、国内経済は東京オリンピック・パラリンピックに関連したインフラ整備や再開発事業が東京圏において活発に進められ、建設業を中心に好景気が続いているものの、20年以降の先細りは避けられそうにないと分析。10月に消費税増税を控え、政府は消費冷え込みを回避するため、住宅ローン減税やポイント還元制度など、消費喚起につながる政策を前面に出しているが、いま一つ説得力に欠け分かりづらいと不備を指摘。人手不足解消に向け、外国人労働者の受入が4月からスタートし、体制整備が急がれるとした。県内建設業をはじめ、海外労働者の人材に期待している企業は多く、魅力ある栃木県としてPRとともに、生活環境面の整備充実が重要としている。