来年度から遺構整備 門脇と大川の旧学校施設(石巻市)

[2018/12/28 宮城版]
 石巻市は、31年度から震災遺構の整備工事を進める。遺構として保存するのは旧門脇小学校と旧大川小学校の2校。工事費は、旧門脇小に8億5000万円、旧大川小に4億5000万円を見込んでいる。これから実施設計の作成に着手し、具体的な整備方法を固める。32年度までの全体完成を目指す。
 旧門脇小は、RC造3階建ての本校舎を一部解体するとともに、残す校舎が崩れないように補強・補修する。併せて、観察棟の設置や、特別教室棟と体育館の改修を進める。
 本校舎は、建物の両サイドを解体し、正面から見て左右に3教室ずつ保存する。大震災で被害を受けた津波と火災の痕跡が分かるようする。内部への立ち入りは防ぐ。観察棟は本校舎の東側と特別教室棟をつなぐデッキで、遺構の見学スペースとなる。
 特別教室棟は1階に多目的室や企画展示スペース、2~3階に地域の歴史や震災被害の状況などを紹介するコーナーを設ける。体育館には市民の利用スペースや仮設住宅の展示スペースなどを配置する。このほか、駐車場の整備や植栽などを行う。
 震災遺構の調査・基本設計等業務は、語り継ぐ旧門脇小学校震災遺構設計JV(鈴木弘人設計事務所・佐藤光彦建築設計事務所・日展・福山コンサルタント・構造プランニング・魁設計JV)が担当。年内に基本設計がまとまる見通し。
 年明けには実施設計業務を委託する。委託に当たっては、同JVと随意契約することが可能になっている。
 旧大川小は、津波被害を受けた既存の校舎には基本的に手を付けず、周辺に植栽や管理棟、駐車場などを設けて公園化する。犠牲者を悼むと同時に、震災の教訓を後世に語り継ぎ、防災・減災教育に役立てられるようにする。
 管理棟は木造平屋300平方m程度の規模で、事務所や展示スペース、多目的ホールなどを配置する。駐車場は学校から道路を挟んだ向かい側を盛土し、バス5台と普通車50台のスペースを確保してアスファルト舗装する考え。
 整備方針では、周辺全体に桜を植樹し、芝生広場や花畑、花壇、慰霊碑、モニュメントなどを配置するイメージになっている。
 震災遺構の調査・基本設計等業務は、AL・総合設計・西澤徹夫・オンサイト・構造計画設計(AL建築設計事務所・総合設計研究所・西澤徹夫建築事務所・オンサイト計画設計事務所・構造計画)JVに委託。基本設計は来月20日に市河北総合センターで中間案の説明会を開いた後、年度内にまとめる。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.