塩谷南那須農振 1.3億円で境堰を復旧へ 国と協議踏まえ実施設計
【2018/12/27 栃木版】
県は、一級河川那珂川の境用水堰(那須烏山市)の復旧に乗り出す。原型復旧を基本に河川管理者の国土交通省常陸河川国道事務所と事前協議を進めており、県塩谷南那須農業振興事務所によると、本協議に備え施工計画を固めるため、実施設計を発注する見通しを示した。境堰は27年9月の関東・東北豪雨をはじめ、度重なる増水で取水機能が低下。農業用河川工作物応急対策事業を充当し、左・右岸に分け31~32年度の2カ年で施工する計画とした。概算事業費には1億3000万円を試算している。
境堰は、主要地方道那須烏山御前山線が那珂川を渡河する烏山大橋の直上流に位置。昭和39年度に造成された木工沈床の用水堰で、約54年が経過している。
堰本体の損傷が著しく、取水位が低下。現在はポンプアップにより取水を実施しているとした。また、右岸低水部護岸の浸食も進んでおり、堤体の破堤による洪水に加え、護床ブロックの機能低下に伴う減勢不足から、河道の異常洗掘や堤防本体への影響など、広範囲に被害が及ぶ危険性が高いとした。堤防の決壊が引き起こされると、農地や農業用施設、那須烏山市道への被害が想定されるとしている。
堰の機能が損なわれ、受益地への用水供給が不能となった場合は、農産物の生産にも大きな被害が想定されるとし、治水上の安全を確保するため、河川管理者からも施設の改善指示が出されているとしている。
整備は、境堰全般にわたり機能を復旧する改修を行う計画。施工延長は堰幅と左・右岸の魚道と護岸を含めた196mで、このうち堰幅の167.2mについて根固めブロック6トン(259個)で補修する計画。
中央部87.7mについては平成24年度に復旧工事を行い、堰の原形をとどめているものの、左岸側32.5mと右岸の47mは流失したままで、延べ79.5mの改良沈床により復旧を計画した。左岸側の根固め魚道が24m、堤防のある右岸側魚道は4.8mを施工し、護岸工は取付張りブロック工120平方m(W5m×24m)を計画している。
県は今年度、国への採択申請するため防災・減災対策事業で調査費を予算化。工法等を検討する予備設計を踏まえ、31年度の本協議に備えるため、4月には実施設計を発注する見通し。予備設計は、第一測工(宇都宮市)が担当している。
採択後は、31年度の渇水期を視野に工事を発注。半川締切を行い、右岸側を31年度、左岸側は32年度の施工を計画している。