1078戸が防止特別地区に 基本方針を見直し(成田空港)

[2018/12/19 千葉版]
 成田国際空港(NAA)が、新滑走路整備など機能拡張を目指すことにより、年間50万回の発着を見込むことから18日、騒音区域の拡大に伴う「成田国際空港周辺地域における航空機騒音対策基本方針」が見直された。昭和57年の策定から4回目の変更となる。主な変更点は、新たな住宅などの建築が禁止、もしくは既存住宅などについては移転補償が受けられる防止特別地区に、1,078戸が新たに入る点など。これまで都市計画決定により同地区に設定されたものでは最大となる。

 今回、主に見直しを図ったのは、さらなる空港機能の強化に伴う防止地区および防止特別地区の範囲の拡大と、地域振興に伴う基本プランの策定を踏まえた、土地利用と施設整備に関する基本的事項内容の修正──。

 このうち防止特別地区については、成田市と山武市、多古町、芝山町、横芝光町の各一部の区域を、住環境には適さないものの、一方で空港に近接しているという利点を持つものとし、土地利用の方向として引き続き農業のための利用を基本とするとともに、移転した跡地については適正に管理。地域住民の交流の場としての公園や広場、地域振興事業への活用など、それぞれの実情に即した有効活用を図るとした。

 並行して、騒音を緩衝する緑地帯や水源かん養のための森林を整備、失われた緑の計画的な回復を図るなど環境の保全に配意しながら、航空機騒音の影響を受けにくい工業や流通業務など、空港近傍地としての立地優位性を生かした産業用地への利用や公園、レクリエーションなどの用地としての利用を促進することとする。

 また、新たに住宅などを建築する場合に防音上有効な構造とすることを義務付ける、約1,600戸が追加された防止地区については、大規模な住宅地の開発を抑制していくことは基本とするものの、過疎化の抑制や集落再建などの視点から、空港予定地や防止特別地区からの移転地としての利用も考えられることから、土地利用については関係機関で協議していくとした。

 市町別の方針をみると、成田市の三里塚地区などの商業地は、地域住民の生活利便性を高める生活拠点として、商業や業務機能の充実を図るほか、ウイング土屋地区は商業や業務施設などの集積が図られた中核的な商業地となっていることから、引き続き機能の充実を図る。

 畑ケ田地区では、国際医療福祉大学医学部附属病院の建設が進められており、今後は病院周辺での医療関連産業の集積が期待されることから、空港周辺地域のポテンシャルを生かし、新たな産業拠点の形成を図るのに加え、県道成田小見川鹿島港線周辺や国道295号周辺では、圏央道や北千葉道路の整備に伴い、空港と広域交通ネットワークを生かした開発需要が見込まれることから、空港関連産業など、計画的に開発を誘導するなどとしている。

 山武市でも、市街地整備と一体化した共同店舗などによる既存の商店街の再整備を図るほか、大型商業施設を誘致、周辺地域の計画的な開発を進める中で都市と農村が交流できる多機能型商業街区の整備を図るなど、農業との連携による地域特性を生かした商業の振興に努める。

 また、既存の松尾工業団地や松尾台工業団地は、周辺環境の整備を図るとともに、圏央道の整備の進展による交通条件の向上に対応した新たな工業団地の立地可能性を探るほか、JR松尾駅を中心とする地域の周辺整備により、駅南側地域の活性化を図り、長生・山武地方の北部地域での拠点性の向上と交流の拡大を目指すなどとしている。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.