大田原土木 鹿島川調節池2基に変更へ 蛇行是正し神明橋架替え

[2019/12/12 栃木版]

 県は、大田原市街地を流れる一級河川鹿島川約1kmの改修に伴い、上流側3基の調節池の基数や容量などの見直しを進めており、現在のところ調整流量の毎秒8立方mを維持し、左岸側2基に集約する方向で検討していることが分かった。効果的な治水対策に加え、用地補償など早期の事業完了を見据えたもので、県大田原土木事務所によると、1月を目途に詳細設計で治水計画を固めていく見通しを示した。鹿島川改修に合わせ、事業区間下流端となる国道400号神明橋の架け替えを含む同国道の線形改良を行うとともに、同橋直上流部で蛇行している河川法線も直線的に改修する計画。

 鹿島川の詳細設計はパシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)、道路線形を含む橋梁詳細設計は新日本建設コンサルタンツ(宇都宮市)が担当。400号神明橋の架け替えは河川事業、同橋と西側で近接する主要地方道大田原氏家線が分岐する神明町交差点を含む約300mの線形改良と交差点改善は道路事業で実施。同交差点には右折レーンを設置する計画。

 鹿島川の改修区間は、市中心部となり河道拡幅による用地の手当てが難しいことなどから、神明橋下流への治水安全度については、市中央2丁目地先に3基の調節池を位置付けた。調節池により毎秒8立方mを防除し、容量が約1万6100立方mで、延べ面積が約0.7ha。調節池3基の内訳は、上流が約4300立方mとし面積が約0.2ha、下流右岸が約2100立方mで面積約0.1ha、下流左岸は約9700立方mで面積は約0.4haとしていた。

 これらの調節池は、市街地に隣接して整備。調節機能のほかに地域の特性と整合を図った施設とするため、地域住民と調整のうえ、利用面や環境面にも配慮した整備を進めていくとしており、計画策定後、今年度末までに地元説明会を開き、要望・提案などを反映させていくとしている。

 400号の線形改良は、神明町交差点から東進し神明橋を通過すると左から右に弧を描く緩いカーブとなっており見通しが悪い。カーブが始まる神明橋がネックとなっており、河川改修に合わせ同橋を架け替え、法線を是正する。調査区間は影響範囲として300mとしており、29年度から平面図化や中心線測量などの調査に着手している。

 現在の神明橋は、昭和18年に架設され老朽化している。橋長が4.48m、幅員11.8mのRC床版橋で、下部工は重力式橋台2基で構成する。

 鹿島川の改修事業は、28年度に開催した県河川整備計画懇談会で、箒川圏域河川整備計画の変更が了承された。箒川圏域では、浸水被害を受けて治水安全度の向上を目的に一級河川鹿島川の未改修となっている上流部約1kmと3基の調節池を追加した。整備計画では、現在改修に着手している百村川・蕪中川・巻川・熊川と同様に、近年最大となった10年8月と同規模の洪水に対して床上浸水被害の解消を目指すとしている。

 鹿島川は、昭和54年度から改修事業に着手。順次整備を進めてきたものの、10年8月洪水では、流域内で多くの浸水被害が発生しており、今後も引き続き河川整備が必要としている。

 整備計画に位置付けた区間は、大田原市新富町地先の400号神明橋下流地点から、一級河川上流端となる末広町地先の末広橋下流地点の約1km。計画流量は毎秒17立方mとし、整備方針では、掘削・築堤・必要に応じてパラペットによる堤防嵩上を実施。また、掘削を最小限にすることにより、現況の瀬や淵などを可能な限り保全。生物の生息や生育場所を確保するとともに、植生回復に努めていくなどとしている。

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