BPルート1案に絞る 国道349号/丸森地区の道路改良(県ら)

[2018/12/12 宮城版]
 県らは第3回県道路防災対策検討協議会(座長・飛田善雄東北学院大学教授)で、国道349号丸森地区の道路改良について話し合い、3つのバイパス(BP)ルートから1案を絞り込んだ。選定したルートには、トンネルや橋などの大型構造物が複数箇所で必要になると見ている。引き続き国土交通省東北地方整備局などと協議して、詳細なルートや構造、工事計画などを検討する。
 BPルートは、最も現道寄りのA案と、最も現道から遠い山側のC案、その中間のB案を比較検討した。その結果、阿武隈川増水時の冠水想定区域を回避するとともに、沿線集落からのアクセス性にも配慮したB案を基本とすることで、道路整備の必要性が了承された。
 A案は大型構造物を設けず、切り盛りだけでBP道路を整備するルートだが、現地が硬い岩とマサ土の不均衡に交じり合った地質で、施工が困難なため不適当とされた。C案は長いトンネルで一気に山を抜けるルートだが、集落とのアクセス性が悪く、災害時に住民の避難が難しいことから不適当と判断された。
 B案は現道から山側に道路を振るルートで、近くに人家がないところはトンネルを通し、集落があるところは土工で道路を設ける。ただ、山を削ることになるため、トンネルの残土を合わせた切土量(建設発生土)は数10万立方mにもなる見込み。
 第3回目の同協議会では▽マサ土が広域に分布しているため、防災対策や法面保護工など、トンネルの支保工・補助工法を検討する▽自然公園内を通ることから、トンネルにより地形改変を回避し、自然環境や景観に配慮した施工計画を検討する▽建設発生土の利用に努力し、残土量を極力低減することを検討するとともに、施工ヤードと土捨て場の確保、現道交通に配慮した工事計画を検討する──ことなどを確認した。
 国道349号は、茨城県水戸市を起点に、福島県の阿武隈山系を縦断しながら柴田町までに至る全長約260kmの国道。未改良となっているのは丸森町大張川張~耕野地区の延長5.8kmと、福島県側の延長2.4km。同町内の現道は、片側が阿武隈川の右岸に接し、もう片側が切り立った山となっている。
 現道は最も狭い区間が幅員4m程度で、車両の交互通行が困難な状況。川と山に挟まれてカーブのきつい箇所もあるため、沿線の自治体からは以前より改良整備が要望されている。県は昨年度、道路改良に向けアジア航測(仙台支店・仙台市青葉区)に調査業務を委託した。
 同協議会は昨年12月に1回目の会合を開いた。委員は飛田教授のほか、東北工業大学の菊池輝教授や、国交省仙台河川国道事務所の遠藤雅司副所長、県土木部道路課の籠目勇一課長など。国が事業化の前段階で県管理の道路整備に関与する全国的にも珍しいモデルケースとなっている。県は施工難易度が高いこともあり、直轄権限代行で国に整備してもらうことを望んでいる。

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