実態に即した単価を 公共施設再生審議会が提言(習志野市)

[2018/12/5 千葉版]
 習志野市長の諮問機関である「公共施設等再生推進審議会」(会長・廣田直行日本大学生産工学部建築工学科教授)は、宮本泰介市長に「公共施設等総合管理計画に基づく『個別施設計画』の策定に関する提言書」を提出した。2カ年で8回にわたる審議を経てまとめられたもので、現状の事業費の試算において、単価の設定が十分でないと指摘。実態に即した単価設定を行うよう求めたほか、年度ごとの事業費を平準化させるため、事業スケジュールの調整を実施することなどを求めている。

 7項目に分けられた提言のうち「財政シミュレーションを踏まえた計画策定」では、普通建設事業費についての審議の過程で、財政シミュレーションの結果が非常に厳しい見通しであり、経常経費分の試算でも毎年度収支不足のため、全般的な事項についても提言することにしたとしている。

 個別施設計画に基づく事業費の算出のためには、前提条件となる単価を適正に見積もることが重要であるものの、現状の事業費試算における単価設定は、同市の実績とのかい離や工事種別ごとの単価設定が十分に検討されていないなど、問題があると言わざるを得ず、個別施設計画の策定に当たっては、早急に市における工事実績などを分析し、実態に即した単価設定を行うことが必要だとした。

 単価についてはさらに、社会経済情勢により急激な変動を伴うことから、過去の実績や最新の情報を把握し、その実績を蓄積・分析することにより、速やかに事業費の見直しに反映できるようなシステム化や、体制整備に努めることが必要だとした。

 これらのことから、個別施設計画の策定に当たっては、年度ごとの事業費を平準化させるため、施設区分ごとの事業実施スケジュールの全体調整を積極的に実施することや、施設の長寿命化による対応が可能な場合は、適切な目標耐用年数を設定するとともに、事業実施スケジュールを調整し、年度ごとの事業費を平準化。建築物の単価を縮減するため、各施設の建設仕様を標準化するなど、過剰な仕様にならないように見直すとともに、インフラが基本的にはストックとして積み上がっていくもので削減は困難であることから、新規整備部分と既存施設の維持管理部分を合わせた事業費を、現状の投資額を上限とするなど、事業費が拡大しないような仕組みを導入するべきだとした。

 このほか、多機能化・複合化による床面積の縮減を、さらなる精査・分析により、その効果を実現することや、単価積算に当たり除却費や仮設費などの関連経費を適切に計上すること、PPP/PFI手法の導入を検討する場合は、財政負担の平準化効果と有効性を検証することなどとした。

 このうちPPP/PFIについては、最近はVFMによる事業費縮減を期待することが難しく、今後は財政負担の平準化と市民サービスの向上に重点を置き、導入の効果や有効性を確実に検証、慎重に検討することを求めている。

 提言書では道路について、管理水準を適正化しコストを抑制する考え方が定着していることから、市の実態を踏まえ道路の管理手法を定めることが必要だとしたほか、橋梁長寿命化修繕計画の長寿命化の効果の根拠が不明確だとし、今後さらなる精査が必要だとした。

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