建設業多団体が災害協定 県は今年度に生コン、下水道管路
[2018/11/28 栃木版]
大地震や豪雨被害など近年多発する災害に備え、建設業団体等と災害復旧協定を結ぶ自治体が増加傾向で推移している。県は8月に生コンクリート7協同組合と「災害時における消防用水等の確保に関する協定」を締結したほか、11月には日本下水道管路管理業協会関東支部県部会と「災害時における栃木県内の下水道管路施設の復旧支援協力に関する協定」を締結。公共土木施設などインフラは、被災時の特殊な状況下にあっても、常に稼働を止めることはできず、建設作業車両や資機材を保有した団体、企業との協定締結は被災住民の仮設住宅の確保や援助物資等を含め、今後とも多様化と重要性を増していきそうだ。 =2面に関連記事、県との災害復旧協定建設業団体等一覧
県が4月1日現在でまとめた災害復旧における協定締結先は、応急対策業務の協力で県建設産業団体連合会と建設コンサルタンツ協会関東支部が骨格。被災住民の住居を確保する民間賃貸住宅の提供は近隣の各都県等、情報提供では全日本不動産協会県本部と県宅地建物取引業協会が窓口。ハード面では仮設住宅の建設をプレハブ建築協会、住宅再建を資金面で援助するのは住宅金融支援機構といった関係自治体や機関・団体が並ぶ。
公共インフラの復旧では、電気設備が県電気工事業工業組合、浄化槽の点検・復旧では県浄化槽協会と協定を締結。一般企業では、応急対策資機材でレンタルのニッケンが20年12月、アクティオとは26年12月に協定を締結した。
輸送協定のうち災害時の交通誘導等に関する協定は県警備業協会。災害廃棄物等の処理の協力では、20年3月に県産業廃棄物協会、県環境美化協会、県環境整備事業共同組合と処理応援に関する協定を締結している。
8月の生コンクリート7協同組合との協定締結は、28年12月に発生した新潟県糸魚川市での大規模火災が契機。消防庁や全国生コン組合連合会の要請等で、1台当たり平均5立方mの大量の水が運べるコンクリートミキサ車で消火用水や生活用水(飲料用を除く)を供給した実績が、火災現場で威力を発揮した。本県でも大規模火災のセーフティーネットの強化を図り、復旧活動を円滑に行うため協定を締結したもの。
23年東日本大震災、27年関東・東北豪雨は、本県でも大規模な被災を受けた。11月の日本下水道管路管理業協会関東支部県部会との協定では、被災した下水道管路施設の調査から応急復旧に必要な点検・巡視・修繕・清掃業務を盛り込むとともに、協議に基づく下水道管路施設の復旧に必要とされる業務としている。
宇都宮市は2月22日現在で、国や中核市、団体・企業等を合わせ87件の災害時協定を締結している。建設業団体では、災害時における応急対策業務で宇都宮建設業協会、無人航空機(ドローン)を活用した被災者等を捜索する情報収集業務では県測量設計業協会と協定を締結。建設業者では、永神工業・エステート住宅産業・石井建設機械などが災害時における応急対策業務。コンサルタントも新日本建設コンサルタンツやシー・アイ・エスなど7社共同で災害時における応急対策業務を締結した。広告付避難場所等電柱看板に関する協定では三信電工と協定を締結している。