専任補助を女性に拡大 31年度から/県が入札制度改正へ (日建連と意見交換)
[2018/11/22 宮城版]
県は入札制度を改正し、31年度から専任補助制度の対象を女性技術者にまで拡大する方針だ。20日にあった県土木部と日本建設業連合会東北支部(平田尚久支部長)の意見交換会で明らかにした。さらに県は、ICT技術を含めた新技術・新工法の活用について、31年度から総合評価落札方式の評価項目に新規追加する方向で準備していることを明らかにした。
意見交換会は、仙台市青葉区のホテルで開かれ、県土木部から櫻井雅之部長ら7人、日建連東北支部から平田支部長ら14人が出席。生産性の向上や働き方改革、社会資本の着実な整備をテーマに話し合った。
働き方改革に関して日建連は、女性の活躍に向けた県の取り組みを質した。県は主任技術者や現場代理人などへの女性技術者の配置と、女性専用の仮設トイレや仮設更衣室を設置するモデル工事を本年度に9件実施予定であると報告。
31年度からは女性技術者をサポートするための取り組みとして、専任補助者制度を女性技術者にも適用する方向で準備していることを明かした。
専任補助者制度は、県が本年度から35歳未満の若手技術者を対象に導入している。若手の監理(主任)技術者と、ベテランの専任補助者を配置する場合、総合評価で専任補助者の成績や実績を評価する方法だ。工事が完了した場合は、若手と専任補助者の両方の実績として認められる。現時点で同制度の適用実績は2件となっている。
働き方改革のテーマではこのほか、日建連が週休2日の取り組みに対するインセンティブの付与について考えを聞いた。県は週休2日モデル工事において、休日の取得状況に応じて工事成績考査で加点評価していることを伝え、今後は総合評価落札方式の評価項目としても検討すると答えた。
生産性向上のテーマでは、日建連がICTやCIM・BIMの活用状況を県に尋ねた。県はICTのモデル工事を本年度上半期に7件実施予定で、下半期からは土工量が1万㎥未満の中小規模工事にまで適用範囲を拡大する予定であると告げ、将来的にはICT施工の標準化に取り組むとした。
CIMについて県は、設計段階からCIMを活用したモデル業務を実施予定であると回答。BIMは活用しておらず、国や各県の動向を踏まえ、導入の是非を含め検討するとした。
さらに県は、ICT技術を含めた新技術・新工法の活用に関して、31年度から総合評価落札方式の評価項目に新規追加する考えを伝えた。
社会資本の着実な整備に向けては、インフラの維持管理分野で人材育成が重要であるという認識を共有。県は日建連だけでなく、地元企業も地域の守り手として育てていく必要があるとし、維持管理業務・工事を発注する際に、地元企業に共同体やJVを作ってもらう意向を示した。
意見交換の総括で櫻井土木部長は、業界の中で女性が長期的にしっかりと働ける方法や、人口が減少する中でインフラを良好に保つ方法について、今後も深く議論していきたいと意欲を見せた。
平田支部長は、国交省が示す来年度のロードマップを実行するために「待ったなしでイノベーションを加速しなければならない」と述べ、生産性向上の取り組みに拍車をかけるため、一層の協力を求めた。