湾岸千葉改良を継続 第3回事業評価監視委員会(関東地方整備局)
[2018/11/22 千葉版]
国土交通省関東地方整備局は20日、30年度第3回となる「関東地方整備局事業評価監視委員会」(委員長・朝倉康夫東京工業大学環境・社会理工学院教授)を、さいたま新都心の合同庁舎内で開き、継続中の事業7件(河川3件、道路3件、港湾1件)を審議した。本県関連では、先に地下立体部が開通するなどしていた「一般国道357号湾岸千葉地区改良事業」も対象となり、同委では本件を含めて7事業全ての継続を了承している。
「一般国道357号湾岸千葉地区改良事業」は、千葉市役所付近の地下立体化のほか、その東京側の3車線化などを図るもの。交通渋滞の緩和や交通安全の確保、道路ネットワーク機能の強化を目的に、平成15年度に着手した。
事業区間は千葉市中央区問屋町から美浜区真砂までの延長5・6km。このうち約4・0km区間が一般部(6車線化)で、残る千葉側約1・6km区間が地下立体部(側道部)となっている。全体事業費には約318億円を見込んでいる。
事業化は昭和44年度に都市計画決定。平成17年度に着工し、27年度に地下立体部が開通、さらに28年度には一般部の6車線部分も開通した。現在は引き続き、歩道や側道、地下立体上部空間の整備を進めている。
事業の完了を目指し、側道部を現在の4車線から、完成形の2車線に移行した際の交通影響把握を目的に、30年4月に2車線で試験運用した結果、渋滞の発生を確認。これに伴い、設計見直しや千葉県警など関係機関協議が追加になったため、事業期間を1年延伸することにしたという。
当初の計画では、登戸交差点に延長30mの右折レーンを設けた上で、片側1車線で運用する予定だったが、渋滞長がこれまでの20mから210mまで悪化したため設計を見直し。右折レーンを50mに延長するとともに、30mの左折レーンを追加することとし、現在施工を進めている。
今回の評価に当たっては前回の評価時(28年度)からあらためて費用便益などを算定。総事業費は約318億円と変わらないものの、総便益約517億円、総費用約413億円と試算し、費用便益比(B/C)は前回の1・2から1・3になっている。
費用便益分析以外の同事業の投資効果として当日は、稲毛浅間神社前交差点や登戸交差点、市役所前交差点などでこれまで速度低下が発生していたが、地下立体部と一般部の開通によって交通渋滞が緩和。さらに地下立体部では死傷事故件数が開通前より約5割減少し、安全性が向上したことが説明された。
また、幅の広い中央分離帯や交通島があり、通行車の安全確保と歩行者や交通安全施設等の視認性の確保のため、雑草抑制として防草コンクリートを敷設し、維持管理費を縮減。熊谷俊人千葉市長からも、一般国道357号は東京湾に接する主要都市を結び、産業・生活両面において不可欠な幹線道路であり、市においても幕張新都心・千葉都心・蘇我副都心の三都心を結ぶ重要な幹線道路であり、交通渋滞が緩和し、物流の効率化による生産性の向上や救命救急活動にも貢献するなど整備効果が発現。引き続き残る一般部の歩道等の整備を行い、高齢者・身体障害者を含めた全ての人や自転車が安全で快適に移動できるよう、コストの縮減に十分留意し、早期完成を図られたいとの意見が提出されている。