9病院が818床申請 千葉市地域の病床配分(県健康福祉部)

[2018/11/16 千葉版]
 30年度第2回の「千葉地域医療構想調整会議」(会長・斎藤博明千葉市医師会会長)が14日、千葉市内で開かれた。議事では、県健康福祉部医療整備課が今年6~8月に実施していた、病院開設(増床)計画書の公募に伴うヒアリングが行われ▽千葉リハビリテーション病院▽千葉メディカルセンター▽千葉みなとリハビリテーション病院▽幸有会記念病院▽平山病院▽千葉鶴岡病院▽いなげ西病院▽北斗西千葉リハビリテーション病院(仮称)▽富家千葉病院(発表順)──の9病院が申請した計818床について、それぞれの増床規模や理由などを委員らに説明した。

 千葉市内をその地域とする「千葉地域医療構想調整会議」は、厚生労働省の通知に基づき、いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となる平成37年に備え、医療関係者や社会福祉団体、千葉市、医療保険者らを委員に迎え、地域ごとに医療提供体制の課題や今後の取り組みについて意見を交換するのが設置目的。30年度は、今年3月に改定された、35年度までを期間とする県の保健医療計画に基づく病床配分などを主な議題としており、県内を9地域に分けてそれぞれ開催されている。

 季美の森リハビリテーション病院(大網白里市)をはじめ、山武地域などで数多くの医療・保健事業を展開する医療法人社団鎮誠会(東金市)は、中央区の千葉みなと地区約5,600平方mに千葉リハビリテーション病院の新設を申請。病床数は療養病床(回復期)120床で、これまでの運営で培ったノウハウを生かすとした。

 旧川鉄病院として知られる医療法人社団誠馨会の千葉メディカルセンター(中央区)は、看護学校などを運営することを強みに、高度急性期6床と急性期31床の計37床の増床を申請。救急受け入れを含め、現状でほぼ満床状態であることを受け、建物内の改修で対応できるとしている。

 一般社団法人巨樹の会の千葉みなとリハビリテーション病院(中央区)は、入院患者が待機していることなどを理由に回復期24床の増床を申請。平成26年の開院で、当初の120床から156床に増床しているが、180床を想定していたため、その補完分だという。

 医療法人社団幸有会の幸有会記念病院(花見川区)は、現状の122床が満床に近いことと、建物の老朽化などにより増築を図り、既存の急性期2床を減らした上で回復期30床を加えた28床の増床を計画していると説明した。

 医療法人社団晴山会の平山病院(花見川区)は、既存の166床(一般47床、療養86床、回復33床)が稼働率98%以上と非常に高い状態なことから、療養80床の増床を申請した。急性期患者の後方支援が可能だとしている。

 医療法人白百合会(大多喜町)は、大多喜病院など夷隅地域と、市原市内に医療・保健施設を展開。高齢認知症の患者数に今後も増加が見込まれることから、慢性期120床とともに、急性期からの退院を支援する回復期60床を併せて申請。合計180床で千葉鶴岡病院を、美浜区幕張西4丁目地区で新設を計画しているという。

 JR稲毛駅前で稲毛病院を運営する医療法人社団駿心会は、今年4月に額田医学生物学研究所付属病院(稲毛区)を引き継ぎ「いなげ西病院」とした。現状の80床に慢性期50床を加え、3病棟で130床体制とする方針だ。

 北海道帯広市に本部を置く社会医療法人北斗は、「多目的多機能な」北斗西千葉リハビリテーション病院(仮称)の新設を計画。一般43床、療養156床の計199床で申請し、候補地を稲毛区の千葉大学隣接地にある東京大学生産技術研究所附属千葉実験所跡地の再開発地とし、4病棟で構成する新病院を計画しているが、再開発地の利用が未決定で用地も未取得のため、別の候補地でも検討中だとしている。

 医療法人社団ふけ会の富家千葉病院(稲毛区)は、既存病院を療養115床、障害42床、回復42床の計199床で運営しており、隣接地に療養(慢性期)100床の増床を計画している。

 今後これらの提案は、県の医療審議会での協議などを経て、31年3月にも病床配分が決定する見通しだ。

 県は病床が不足しているとされ、公募の対象とした「千葉」「東葛南部」「東葛北部」の3つの二次医療圏で、合計1,654床分の配分予定病床数に対し、30者・計2,964床分の申請があったことを明らかにしており、今回の千葉地域医療圏で配分予定病床数430床に対し、9病院から818床の申請があったのをはじめ、東葛南部医療圏は542床に対し8者から784床、東葛北部医療圏については682床に対して13者・1,362床の応募があったといい、いずれの圏域でも配分予定病床数を応募数が上回っている。

 千葉地域では37年度に見込む必要病床数のうち、急性期分が過剰である一方、回復期が大幅に下回るなど不足するとされた。一方で会議当日は、救急搬送の需要が年々上昇する中、高度急性期や急性期の病床数がマイナスとなることに懸念を示す委員もいた。

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