「市庁舎と複合化は困難」 文化交流施設 構想案の中間報告(我孫子市)

[2018/11/14 千葉版]
 我孫子市企画課は、かねてから整備が検討されている新たな文化交流拠点施設について、建設構想案のとりまとめに向けた中間報告を公表、12月27日までの期間で、パブリックコメント手続きによる意見募集を始めた。中間報告は、現在までの検討状況を示したもので、今後は来春までをめどに、建設構想案をまとめる方針で、その可否から判断していく。

 今回の中間報告について市は、新たな文化交流拠点施設の整備に向け、26年10月に公表した「調査研究報告書」や、26年度以降の新たな視点も踏まえ、建設構想案のとりまとめを進めており、これに向けて市民から幅広い意見や提案を受け付けるために現時点での検討状況を示したものとしている。

 調査研究報告書は市民へのアンケートや専門家会議の結果、整備の基本方針、導入機能、建設候補地の評価、概算事業費などについてまとめられており、これによると[1]地域の文化芸術の振興[2]文化芸術と他分野を連携させた活動の展開[3]地域の活性化[4]環境に配慮したひとにやさしい施設──の4つを基本方針として掲げた。

 建設候補地については▽高野山新田▽下ケ戸・岡発戸▽中里新田▽気象台記念公園▽我孫子市役所▽天王台西公園▽手賀沼公園──の7カ所から、高野山新田エリアに文化交流拠点施設を整備し、周辺に点在する施設や地域資源と連携することで、さまざまな交流やにぎわいの創出を目指すことは同エリアを含む天王台地区のまちづくりの方針にも整合するとし、施設の規模については、ホールの座席数を大ホール1,000席前後、小ホール300席前後を目安に建物の延床面積として7,000~8,000平方m、整備費に39~45億円を概算していた。

 中間報告に当たっては、28年度に市が公共施設等総合管理計画を策定するとともに、29年度には市議会から提案のあった市庁舎との複合化、29年10月に策定した高野山新田地区土地利用構想も踏まえて検討。先の4つの基本方針から文化芸術発信ゾーン、創造支援ゾーン、交流促進ゾーンを設けてこれらを連携させるとした。

 また、あらためて建設候補地を高野山新田地区と定め、このうち手賀大橋から水の館周辺のAエリアの敷地約1万5,000平方mに絞り込んだ。周辺の鳥の博物館や水の館、白樺文学館、旧村川別荘など文化施設と連携し、手賀沼の水辺を生かした賑わいづくりを図る。

 内部にはホール機能として1,000席の大ホール・300席の小ホールのほか、文化芸術発信ゾーンとして展示室などギャラリー機能も配置。創造支援ゾーンとしてものづくりスタジオや多目的スタジオ、交流促進ゾーンとしてフリールームやオープンスペースなどを設けるとした。

 施設の規模には延べ8,100~8,600平方mを想定し、このうちホールなど文化芸術発信ゾーンに5,900~6,200平方mを充てる。一方で市庁舎との複合化については、アクセス性に乏しいことや建設予定地が洪水時の浸水想定区域にあること、建物の高層化による景観への影響が懸念されることなどから、市庁舎と文化交流拠点施設の2つの機能を併せ持たせることは現状では難しいとした。

 事業費についても、延べ8,600平方mで整備した場合、建設費として約48億円が見込まれ、現在は文化施設整備基金に約6億6,000万円の積立金があるという。運営費の捻出方法として施設利用料や興行収入、駐車場収入のほか、ネーミングライツ(命名権)の活用なども検討。また、整備に当たっては、その手法として民間を活用したPFIなども検討していくとした。

 今後まとめる建設構想案は、これまでの検討や中間報告に対する意見を集約し、今後の課題を含めた形で提示するとしている。

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