高谷出張所が開所 消防艇も配備 港湾部の防災拠点に(市川市)

[2018/10/30 千葉版]
 tapecut建て替え工事が進められていた、市川市の東消防署高谷出張所が晴れて開所することとなり27日、現地で開所式が催された。当日は多くの来賓や関係者が駆け付け、同消防音楽隊の演奏に合わせ、華々しくテープカットが行われるなどした。同出張所は29日から運用を始めており、千葉市とともに県内に2艇しかないという消防艇のうちの1つも配備され、同市港湾部の防災拠点として重要な役割を果たす。

 既存の出張所に隣接して建てられた新たな高谷出張所は、RC造3階建てで、建築面積は442平方m、延床面積は850平方mの構造・規模。基本・実施設計はニュージェック(大阪市北区)が担当し、建築本体工事は岩堀建設(市川市)、電気設備は電機産業(同)、機械設備を金子水道工務店(同)がそれぞれ手掛けるなどした。2期工事となる既存庁舎の解体工事と外構工事も岩堀建設が施工する。

完成した東消防署高谷出張所

完成した東消防署高谷出張所

 式典では笠原智副市長が、村越祐民市長の祝辞を代読。建設に関わった多くの関係者に感謝の言葉を述べるとともに、外環道の開通など、まちの変貌が目覚ましい中、災害も多岐にわたっている同市について、直接市民を守る消防業務にとって、十分な安全性が求められる新庁舎の完成を喜んだ上で、関係部局が一丸となり、市民の暮らしを守るとした。

 来賓からは竹内清海同市議会議長と、同市消防委員会の委員長も務める市川市消防協力会の上條憲司副会長もあいさつ。竹内議長が、防災の拠点となる同出張所の完成によって一層の活躍が期待でき、周辺の防災対応力が上がることに抱負を述べれば、上條副会長も市の危機管理が叫ばれる中、災害に対しては今まで以上の協力が必要だと強調した。

 本住敏消防局長による新庁舎の概要説明に続き、華々しくテープカットが行われた後は内覧会も行われ、関係者や来賓らが早速真新しい庁舎内を見学して回った。

 周辺に大きな工場や物流倉庫が立ち並ぶ同庁舎には、普通消防ポンプ車1台と大型化学消防車1台、高規格救急車1台、水槽車1台のほか、消防艇「ちどり」1艇を配備。出張所長以下24人が配置される。

 既存庁舎は昭和42年に建設され、築後51年が経過。建物の老朽化が著しく、平成8年に耐震診断を実施したところ、耐震基準を満たしていない庁舎だったことから新庁舎の建設を決めたという。

 建て替えに当たっての基本理念として、災害時に拠点施設としての機能を維持できる庁舎として、災害活動時に消防業務の遂行に支障を来さないよう十分な安全性、耐震性を備えた庁舎とするとしたほか、女性消防職員の当直配置が可能な庁舎とした。このため、女性仮眠室やトイレ、シャワー室など「女性が働くための職場環境」を整備した庁舎としたのに加え、消防庁舎と資機材倉庫を一体的に整備。建物の長寿命化や維持管理の簡素化など、コストを抑え経済性を考慮した庁舎としている。

 1階部分は車庫のほか、受付や資機材庫、倉庫、多目的トイレなどを配置。中2階は倉庫と油庫とし、3階は事務室のほか畳敷きベッドを備えた仮眠室、更衣室、女性用の更衣室・仮眠室、倉庫、書庫などを備えており、非常時の自家発電機や空調の室外機は、津波による浸水被害を想定し、屋上に配置されている。

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