全案件で「同時提出型」 総合評価に適用 12月から試行へ(県土整備部)

[2018/10/27 千葉版]
 県土整備部建設・不動産業課は、不正行為の排除を主な目的に、今年7月から県土整備部発注の工事の一部で試行していた「一般競争入札(総合評価方式)同時提出型」を、一般競争入札(総合評価方式)で県土整備部(出先機関含む)が発注する全ての工事を対象に試行する。これは今年12月3日以降に入札公告を開始する工事から適用する方針だ。

 「一般競争入札(総合評価方式)同時提出型」は、総合評価方式における技術評価点を算出するための「技術資料」と「入札書」、「工事費内訳書」を同時に提出するもの。

 従来までは「競争参加資格確認申請書」と「技術資料」を併せて提出した上で、競争参加資格確認の結果の通知後に「入札書」と「工事費内訳書」を提出していたが、適用後は「競争参加資格確認申請書」を提出後、競争参加資格確認の結果の通知を受けて「技術資料」と「入札書」、「工事費内訳書」を同時に提出する。技術資料は電子入札システムでの提出が可能で、容量の合計が10MBまでの添付ファイルに対応するという。

 県は不正行為の排除の徹底に向け、談合情報対応マニュアルと電子入札約款を今年4月に一部改正。▽談合情報の明確化▽情報漏洩の禁止▽指名停止期間の加重▽誓約書提出対象者の拡大──などを図った。「一般競争入札(総合評価方式)同時提出型」は、県土木事務所の発注工事に伴う情報漏洩事案を踏まえてのもので、技術評価点を算出するための技術資料を入札書と同時に提出することで、入札前の評価点漏洩を防止し、不正を発生しにくくするのが狙い。

 県土整備部では併せて、働き方改革の実現や職場環境の改善に向けて取り組んできた取り組みの進ちょく状況を公表。技術管理課は、27年度から試行している「完全週休2日制モデル工事」については30年度、「発注者指定型」として9月末時点で38件が契約済みで、一方の「受注者希望型」も同様に36件が契約済みだとした。このうち実施希望ありとしたものが12件、希望なしが19件、検討中が5件となっている。

 「建設現場における快適トイレの普及促進」についてはまた、30年度の設置工事数は35件で、このうち男女別にしたものが3件だった。予定価格2,000万円以上の土木工事を対象に試行されているもので、1基当たり月額4万5,000円を上限に、県が設置費用を負担する。

 施工者希望型で試行されている「ICT活用工事」(土工)については、29年度に4件で適用があり、30年度は9月末時点で52件の活用工事に対し計5件で適用された一方、30年度に始まったICT活用工事(舗装)では、5件の工事に対し、適用はいまだ0件となっている。県ではさらなる活用へICT建機の稼働率の設定と、1万立方m以下の歩掛について改定を図っているという。

複数の目で「審査の場」

 一方で県土整備部は、積算誤りの再発防止策について、拡充を図ることを26日明らかにした。今年8月に開札された県葛南港湾事務所発注による工事の指名競争入札で積算誤りがあり、本来なら一般競争入札(総合評価方式)で執行すべき案件だったことが判明するなどしたため。

 同事務所による積算誤りのあった野積場舗装工は、予定価格が5,000万円未満だったことから指名競争入札としたものの、契約業者から確認依頼があったため再チェックしたところ、積算誤りを発見。正しい予定価格も実際は5,000万円を超えるなどしていたことから業者に謝罪、説明し、契約を解除したという。

 県土整備部ではこれまで、出先機関の課長・主任に対しチェックミス防止のための研修を実施。その後出先機関でも積算担当者に対して研修を実施した。設計書チェックシートを改善し、具体的なチェック方法を示した解説版案を作成し、今月から試行するとともに、現地確認や今後のチェック体制の意見交換も実施したという。

 今後は設計書チェックシートでのチェックが確実に履行されるよう、複数の目でチェックが可能な「審査の場」を設置。チェックシートとその解説版も試行を踏まえて改訂するとともに、積算誤り防止研修を継続して実施していくとしている。

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