跡地利用へ5者選定 旧西千葉キャンパス 対話事業者の1次募集で(東京大学)

[2018/10/23 千葉版]
 国立大学法人東京大学は、千葉市稲毛区の千葉大学西千葉キャンパスにも隣接する、同大学の生産技術研究所附属千葉実験所(東京大学西千葉キャンパス)の跡地活用について、1次募集による対話事業者として▽大和ハウス工業▽パナソニックホームズ▽ZOZO▽イオンタウン▽野村不動産──の5者(グループ含む)を選定するとともに、それぞれの提案概要を明らかにした。今後は1次募集に未参加の事業者を加えた2次募集により、土地の処分を前提とした開発事業者を選定することとなる。

 提案内容の審査に当たっては、提案の範囲が跡地の一部分であっても、質の高いまちづくりに寄与する提案内容ならば対話事業者として選定することもあるとしていた。今回の募集で対話事業者になった場合、1次募集の提案内容や対話への貢献度などを踏まえて、2次募集の審査時による配点合計の10%を上限にインセンティブを付与するという。

 29年4月に柏キャンパスへの移転が完了したことに伴う同大学西千葉キャンパスの跡地利用の検討に向けて同大学は、利用計画を策定することを目的に同大学や千葉大学の学識経験者だけでなく、千葉市や地元自治会らで構成する「東京大学西千葉キャンパス跡地利用協議会」を設置。土地利用や都市基盤、まちづくりのルール、スケジュールの検討のため、今年3月に初会合を開いている。

 これに先立ち29年10月には、両大学と千葉市による三者懇談会で「東京大学生産技術研究所附属千葉実験所の跡地利用に係るまちビジョン」を策定するとともに、同跡地に関心のあったディベロッパーを中心とする9者に対して同11~12月にサウンディング(聞き取り調査)も実施している。

 「まちビジョン」では跡地の周辺に千葉大学をはじめ、千葉経済大学や敬愛大学などが立地し、稲毛区の基本計画にもある「文教のまちづくり」を体現する優位な立地環境を持っているなど、これらを生かせる地域活性化に寄与することが課題だとした。

 敷地条件をみると、JR西千葉駅にも至近な第一種住居地域(3,000平方mを超える店舗や事務所、ホテルは立地不可)かつ第一種高度地区(20m)であるものの、約9・8haと駅近の希少な大規模敷地でまとまった緑があり、千葉市や県も公共用地としての需要はないという。

 「まちビジョン」は開発で留意すべきこととして▽「文教のまち」を継承する土地利用▽緑の確保▽駅とのつながりに配慮した空間づくり▽新たな活力の創出▽検討対象区域の敷地整序──の5点を挙げるとともに、東大跡地と千葉大キャンパス全体の基本方針として▽「文教のまち」にふさわしい都市機能の導入▽「みどり」豊かな都市軸の形成▽「地域拠点」としてふさわしい都市デザイン──、また跡地の基本方針として▽地域の活力、生活利便性、QOLの向上に貢献する機能の誘導▽周辺地域と一体となったコミュニティの醸成・促進▽災害時への対応──の計6点を設定した。

 併せて都市基盤整備などのあり方として、跡地の緑を生かしつつ周辺地域の交通利便性の向上や「文教のまち」にふさわしい、千葉大キャンパスとの調和に配慮した空間を形成するとし、緩衝帯となる「緑地ベルト」の整備や周辺地域からJR西千葉駅までの歩行者動線の確保、オープンスペースの確保、地域交流地区の延伸、駅周辺のゲート空間としての都市デザイン、区画道路・公園などの整備を基本的な考え方として据えた。

 土地利用の方向性としてはまた、文教のまちをリードする多機能ゾーンや、まちの骨格を形成する「緑の軸」ゾーン、質の高いライフスタイルを実現する地域コミュニティゾーン、産官学連携学際型研究ゾーンの創出と、各ゾーンでの整備想定施設例などが提案されている。

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