「適正な工期設定」盛る 発注者の役割解説書改定(国交省)

[2018/10/18 千葉版]
 国土交通省は17日、29年6月に策定した「公共建築工事における発注者の役割」の解説書を改定した。建設業での働き方改革と生産性向上など公共建築工事での発注者の役割の理解促進を図るために策定されたもので、今回は建設業や建築設計に当たっての新たな取り組みや、地方公共団体、各省各庁、関連団体といった公共建築工事に携わる関係者からの意見等を踏まえ、週休2日の確保などを踏まえた適正な工期設定を図ることなどを盛り込んでいる。

 「公共建築工事の発注者の役割」解説書については、地方公共団体などからの意見などを受けて、29年1月の社会資本整備審議会で答申があり、公共建築工事での発注者の役割について解説するとともに、関連する同省の官庁営繕事業での運用事例や、参考となる技術基準・ガイドラインなどを紹介。発注者が参照しやすいように、発注者の役割ポータルサイトを作成、参考資料にリンクできるようにしている。

 今回は、建設業や建築設計などでの働き方改革や生産性向上に向けた新たな取り組みに加え、地方公共団体や各省各庁、関連団体などの公共建築工事に携わる関係者からの意見を踏まえ、第二版として改定を図った。

 主な追加または更新した内容として今回は、週休2日の確保などを踏まえた適正な工期設定を図ることを盛り込んだほか、全国の公共建築工事の発注者が、適切な設計者の選定ができるよう、マニュアルを追記した。

 工事についても併せて、工事の性格や地域の実情などを踏まえた適切な競争参加資格の設定を追記したほか、積算数量の確認方法や協議などについて、円滑に運用されるよう「入札時積算数量書活用方式運用マニュアル」を追記。工事内容に応じた適正な予定価格の設定に向けて、法定福利費や安全衛生経費の適切な計上の必要性を盛り込むとともに、「歩切り」による予定価格の切り下げは法律違反である旨を記すなどしている。

 これらのほか、分離発注される工事や後工程の内装工事、設備工事、舗装工事などの適正な施工期間を考慮し、全体工期のしわ寄せがないよう配慮するよう求めたほか、担い手確保や建設現場の生産性向上に向けた発注と施工時期の平準化を図るため、債務負担行為の積極的な活用を促した。また、緊急度判定に伴う技術的事項を定める緊急度判定基準や、工事工程に連動した「遅滞ない設計意図伝達」の取り組み、BIMなどの活用促進や会議の早期開催、工事関係図書など書類の簡素化などを追記している。

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