姥川上流3kmを河道計画 県9月補正の河川砂防事業 40カ所で堆積土除去 砂防調査は井戸の沢や急傾斜山下A
[2018/10/13 栃木版]
県土整備部は、9月補正予算のうち河川砂防事業の緊急防災減災対策として11億円、公共事業関連調査費には1億8000万円を計上。防災減災は、河川砂防区間で河道内に堆積した土砂や繁茂する樹木の撤去を行うとし、県内約40カ所で実施する。工事は渇水期を視野に隣接する箇所等を統合し、所管の土木事務所から年内にも発注する見通し。調査では、河川が一級河川姥川上流(足利市)の未改修区間約3kmの河道計画。砂防は31年度以降の国庫充当を見据え、堰堤等砂防が井戸の沢(日光市足尾町)、急傾斜地崩壊対策は山下A(栃木市岩舟町)など計14カ所で平面図化や路線測量などを予定した。
今回、河道内の堆積土や樹木の撤去を行うのは、30年7月豪雨で堆積土等により流下断面が阻害され氾濫し、堤防決壊や溢水など甚大な被害につながった箇所。
9月議会の一般質問や予算特別委員会で江連隆信県土整備部長は、河川の防災・減災対策事業について、堆積土等の除去を一層、前倒しして推進することとし、特に、公共施設や避難所などの防災拠点、緊急輸送道路の浸水が危険視されるなど、大きな被害が想定される箇所と述べるとともに、選定に当たっては地元の要望も踏まえた上で、これまでの経験や知見を基に総合的に優先度を判断、約40カ所において工事を実施するとした。発注時期については、補正予算の成立後、速やかに工事を発注し、来年の出水期までに対策を完了できるように努めていくなどと答弁している。
具体的な実施河川は、箒川(大田原市)、思川(鹿沼市)、旗川(足利市)などとし、砂防では志渡渕川(日光市)を予定しているとした。
調査費のうち河川事業では、姥川のうち普通河川雉川合流部から一級河川上流端まで約3kmの未改修区間の河道計画に予算付けした。氾濫被害を受け、改修の必要性が高まっていたもので、国庫申請に向け、整備計画を立案していくもの。
姥川の県管理区間は、下流端が直轄河川境から上流に5500m。下流側から改修に着手し平成15年度までに久野橋まで整備の必要な1500mを完了。その後、県単事業で久野橋から雉川合流部までの250mについて測量や設計を行い、うち200mの改修工事を完了している。
砂防調査は、井戸の沢と山下Aのほか、堰堤工の整備に向け、門前向沢(那須塩原市)と曲屋沢(佐野市)で路線測量などを実施する。調査は、国庫を申請するため、国と工法等を検討する事前調査とし、堰堤工は構造物の位置や規模、急傾斜地は法枠や吹き付け、擁壁工など法面の状況に応じた対策工を検討するための調査を実施するとした。
堰堤工を試算している砂防調査のうち、井戸の沢が日光市足尾町原地内の渡良瀬川支渓、門前向沢は那須塩原市塩原地内の箒川支渓、曲屋沢は佐野市船越町地内の旗川支渓。急傾斜地の山下Aは、栃木市岩舟町小野寺地内に位置する。