セミバック堤と樋門増設 小山市 豊穂川1kmを一級河川 31年度事業化へ河道計画
[2018/9/21 栃木版]
小山市は、27年9月関東・東北豪雨で氾濫し浸水被害等をもたらした豊穂川の改修計画を固め、セミバック堤による河道拡幅と一級河川思川との合流部に設置された既設の樋門を増設する整備手法に決めた。改修区間は合流部から上流へ約1.0kmで、構造物では2橋梁を架け替えるほか、国庫交付金を充当するため同区間を一級河川に指定する。市建設政策課によると、現在の毎秒40立方mから60立方mの流量を安全に流せる計画とするため、河道を市街化調整区域の右岸側に拡幅し築堤、新河道を整備するとした。現在、改修エリアの概略測量を進めており、事業化が見込まれる31年度は、実施設計を委託し河道計画を固める。一級河川指定後は市が事業主体で整備する計画。概略測量は三立調査設計(小山市)が担当している。=2面に関連記事
同河川の整備は、豊穂川流域の排水強化対策として、市排水対策強化プロジェクトに位置付けたもの。内容は、本川の改修に加え、排水機場、調整池、田んぼダムといった取組みを進め、総合的な治水対策を強化していく。
当初は本川の改修ではなく、右岸側の市街化調整区域に容量56万立方m(A16.8ha×H4.0m)の調整池を整備し、思川との合流部付近には毎秒4.0立方mの排水機場を設置することで洪水被害に備えるとしていた。
しかし、調整池整備に伴う用地費などコストが嵩むため、国や県との協議・調整を踏まえ、補助的に有利な一級河川に指定した整備に変更し、同河川の洪水を可能な限り思川に流下させる河道整備とした。補助メニューには国庫交付金の都市基盤河川改修事業の充当を予定している。
豊穂川の現況の計画高水流量は毎秒40立方m。氾濫被害を防止するため毎秒60立方mとし、河床幅で6.0m、ハイウォーターで20.0mに拡幅する。拡幅に当たっては農地の広がる右岸側調整区域の用地を買収。両岸の築堤はハイウォーターレベル27.133mを防げる27.733mとし、監査路を設置するため堤防上は幅員3.0mを確保する。
樋門は27年豪雨被害を受けて思川との合流部に県が29年3月に設置。増設は毎秒20立方m分とし、仕様等は31年度以降の設計で確定していく。現在の樋門は純径間が5.1m、有効高3.1mの2門で構成。電動時の開閉速度は毎秒約0.3m、扉体重量が56.8KN1門。
改修予定の約1.0km区間には、下流側から市道橋の大行寺橋(L35.0m×W5.0m)と一般県道小山結城線新川橋(L44.0m×W11.0m)があり、河道拡幅に合わせ架け替えるとした。事業化後の工事期間には、5年~7年を想定している。
市はすでに整備計画とともに一級河川指定の要望を国に行っており、現在のところ、31年6月ごろには一級河川に指定される見込みという。県は一級河川指定と改修計画を思川圏域河川整備計画に位置付けるため、今秋にも県河川整備懇談会を開催する見通し。