普通教室に空調設備 全小中学校で 手法調査を年度内(千葉市)
[2018/8/25 千葉版]
千葉市の熊谷俊人市長は23日に開いた記者会見の中で、懸案となっている市立小中学校の普通教室への空調設備の設置について言及し、導入に向けて年度内に、整備に当たっての手法を検討するための調査に着手することを明らかにした。9月6日に開会する予定の市議会9月定例会に提出する補正予算案に、手法検討に向けた事業費を盛り込んだ上で確保を図る方針で、議決後早急に調査などに着手したいとしている。
学校への空調設備の設置についてはこれまでにも検討が進められており、今年4月には同市に設置された学校教育審議会で、今後の学校施設の環境整備に関する審議を進めるに当たり、効率的かつ客観的に議論する上で必要となる資料を策定することを目的として、基礎資料の調査業務を委託するためプロポーザルを公告。翌5月には明豊ファシリティワークス(東京都千代田区)を事業者として選定している。
この業務は委託期間を10月31日までに設定して進められており、これらの結果も手法検討に当たっての材料とする考え。資料の作成に当たってはまず、空調設備導入後の効果や課題、空調設備導入に至った経緯、ランニングコストなどのヒアリングを実施するなど、他の自治体の公立学校で、普通教室に空調設備を導入するなどした先行事例を調査する。
加えて空調設備の導入手法として▽直接施工方式▽PFI方式▽リース方式──の3方式について、イニシャルコストやランニングコスト、維持管理費などをそれぞれ算出。導入手法別の概算事業費をまとめる。業務ではこれらの結果を基に、その具体的内容について提案することを求めるほか、空調設備の導入について有効かつ委託料の上限内で調査可能な項目があれば提案することとしていた。
空調設備については今夏の猛暑を受け、保護者らから同市教育委員会などに多くの設置要望が寄せられていたといい、市では学校の統廃合などの課題と併せて検討していたが、老朽化している施設が多いことから、校舎の外壁改修といった対策工事のほか、トイレの洋式化改修などを優先的に実施してきたという。
一方で市は、近隣への配慮などもあり、窓を閉め切りにして授業や部活動などが行われる音楽室や、特別支援学級への空調設備設置を進めていた。
このような中市では、文部科学省が今年4月に「教室等の環境に係る学校環境衛生基準関係」を見直し、望ましい温度の基準を「17度以上、28度以下」に設定して各都道府県や指定都市、各研究機関に通達したことなどが、今回の措置のきっかけになったといい、同省などに対して補助金の引き上げなどを要望しているという。