月末にマニュアル改訂 官製談合防止へ調査報告(県土整備部)

[2018/8/22 千葉版]

 県土整備部は21日、第4回となる「業務適正執行推進本部会議」を県庁内で開いた。同部内で起こり得る業務執行上の問題を検討し、その適正な執行に向けた方針などをまとめるために設置されたもので、当日は河南正幸部長をはじめとする同部の幹部らが出席。今回は東葛飾土木事務所で昨年発生した官製談合防止法違反事件を議題とし、その調査報告が行われたほか、その会議内容は続けて同庁内で開かれた30年度第2回の県コンプライアンス委員会議にも諮られるなどした。

 会議の冒頭、同本部長を務める河南部長があいさつ。事件の解明に注力する一方で、2度と起こらぬよう再発防止にも努める旨を幹部らに示すなどした。

 議事に入ると▽事案調査プロジェクトチーム▽執務環境整備プロジェクトチーム▽入札制度改善プロジェクトチーム──がそれぞれ、検討結果を報告。まず事案調査プロジェクトチームが内容と経過を説明。情報提供以降に県土整備部として「談合情報対応マニュアル」に基づき、公正入札調査委員会を開催、開札前だった案件以外の工事について入札を取り止めるとともに、通報内容を公正取引委員会や県警にも通報。部内でも職員や事業者に対し、捜査などに支障のないよう調整しながら調査を進めたことが明かされた。

 事件の要因や背景については▽職員のコンプライアンス意識の欠如(不徹底)▽コンプライアンス意識を浸透させるための体制の不備▽相談機能・環境の不備▽日常における事業者との接触、事業者への過剰な配慮▽入札制度や入札事務における不備──などが挙げられた。

 かつ、今後の取り組みとして、総合評価方式の一般競争入札で、情報に対する手続きの明確化や対応の厳格化に加え、不正が発生しにくい入札手続き導入の一環として、技術評価点の算出に必要な技術資料と入札書を同時に提出する「同時提出型」について、試行を経た上で採用したことが説明された。

 また、今後の取り組みとして、執務室への入室禁止などについて、一部の来庁者から不満の声があったものの、ルールの徹底について説明の上理解を得られたことなどを受け、これらを定着させる対応を継続して検討していくとした。

 続けて執務環境整備プロジェクトチームは、執務エリアへの入室の原則禁止や、受付簿への記入を求めること、複数の職員による対応などを実施していることを説明。執務室内のセキュリティレベルの向上に加え、来庁者への対応に伴う業務の中断の減少による事務効率の向上、職員の意識向上による相互けん制の発現などの効果があったとする一方、受付簿の記載などについて統一的な運用基準を示す必要があるとした。

 さらに入札制度改善プロジェクトチームは、談合情報対応マニュアルを今月31日付で改訂することを表明。具体的に職員の関与が疑われる情報が寄せられた場合には、第三者的視点として行政改革推進課職員を参加させるとともに、出先機関の発注工事でも全て本庁審議とするとともに、適宜コンプライアンス委員会議に意見を求め、公正入札調査委員会の審議結果を同会議に報告する旨を規定する。

 加えて調査や入札手続きの各段階で系列に沿ってマニュアルを参照できるよう構成することのほか、段階ごとの報告系統を明確に規定。入札の取り止めや無効、契約解除後の発注機関の対応を具体的に規定するなどとしている。これらについては今月30日に幹部職員に対して研修会を開く予定だ。

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