26億で船生用水改修へ 船生山口はずい道補修 今年度に計画樹立 除塵機や小水力発電計画(県塩谷南那須農振)

[2018/8/8 栃木版]
 県は、塩谷町船生地区をかんがいする船生用水と船生用水堰頭首工の改修を計画しており、全体事業費が26億円規模になることが分かった。開水路・ずい道の修復と補強、頭首工本体の補修などに加え、付帯設備として小水力発電施設や除塵機・カメラの設置など水管理省力化施設を計画しているためで、県塩谷南那須農業振興事務所によると、31年度からの事業化に向け今年度の計画樹立を目指すとしている。同事務所では船生用水のうち、緊急性の高い船生山口地区の対策を進めており、今年度はずい道部70mの工事を9月にも発注する見通しを示した。

 船生用水堰頭首工は昭和30年度、水路は同34年度に完成。頭首工は石積みの固定堰に摩耗・脱石が見られるほか、可動堰の扉体は腐食が進んでおり、巻き上げ装置も老朽化している。幹線水路は延べ12.7kmで、うちずい道が11カ所約2.3kmを占めており、本格的な対策工事が行われていないことから機能診断を通じ、不具合箇所を特定してきた。保全計画では、延べ5.5kmの修繕など対策工事が必要としている。

 機能診断と保全計画策定は、26~27年度の2カ年をかけて実施。対象は頭首工、幹線水路、平作堀用水の3カ所。その後の計画設計等を通じた検討では、▽船生・平作堀水路工として、開水路・ずい道の修復と補強▽船生用水堰頭首工では、堰本体の補修に加え、扉体・戸当たり・開閉施設の電気設備更新▽余水路の利用や発電機を設置した小水力発電施設▽堰・取水口への除塵機やカメラ通信施設の設置-などを計画している。

 先行して29年度から工事に着手したのは、幹線水路のうち一級河川土佐川を挟んで西側の高盛り土となっている400m区間(W2.6m×H1.2m)。今年度には同河川東側のずい道70m(馬蹄形W1.8m×H1.8m)の対策工事を計画。工法では、空洞部分を充てんするほか、ずい道内部はさや管等の機能を持つ可とう樹脂管でコーティングして補強し、崩落や漏水を防止するなどとしている。対策に当たっては29年度補正予算を充当、今年度は繰越を含め1億1850万円を配分した。

 機能診断と保全計画、船生山口地区の対策工法の検討、計画設計・樹立業務は宇都宮測量(宇都宮市)が担当している。

 船生用水堰頭首工は、日光市高徳地内の一級河川鬼怒川左岸に団体営かんがい排水事業で、昭和27~30年度にかけて築造された。玉石積みコンクリートの固定堰で、堤長が90.51m、堰幅は4.38m、堤高が1.60m。最大取水量は毎秒2.50立方m。

 船生頭首工から導水する船生用水は、団体営事業の第1次・第2次船生用水改良事業で、昭和27年度から34年度までの8カ年をかけて、ずい道の巻き立て工事なども含め整備を進めてきた。鬼怒川左岸の高低差のある台地上を鬼怒川に沿って東進するため、延長12.7km間に11カ所で延べ2.3km区間がずい道となっている。

 船生用水が整備されるまでは、下流側から取水していた。現在は平作堀用水として同じ時期の昭和31年度から34年度にかけて再整備された。頭首工は角落しの固定堰で、堤長が100.0m、堤高2.0m。最大取水量は毎秒2.21立方m。水路の全体延長は5.86kmで、取水堰下流の約0.5kmがずい道となっており、昭和37年度に県単独土地改良事業でずい道拡幅工事を実施している。

 平作堀用水は、平成21年度にずい道のコンクリート巻き立て部分の一部に落盤が発生。農業水利施設ストックマネジメント事業により復旧している。29年度は船生百目鬼地区として、付帯工事を含む延べ100m(W2.0m×H1.0m)の水路工事を実施している。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.