蒲須坂喜連川線ボックスを設計 293号交差点改善へ 県が路体盛り土、市は桜植栽
[2018/8/2 栃木版]
県施行のさくら市の一般県道佐久山喜連川線早乙女工区は、「早乙女桜並木」の再生と歩道整備に向け、今年度から国庫交付金を充当。歩道未設置区間の約600mを対象に盛り土を行い、標準断面で全幅20.5mを確保(桜並木再整備区間が約500m)する。県矢板土木事務所によると、県は道路拡幅に伴う盛り土を行い歩道と植栽スペースを確保、市は桜の植栽を担当するという。今年度は立体交差している一般県道蒲須坂喜連川線のボックス工の詳細設計を発注する予定。また、現在委託中の道路詳細設計では、立体交差3カ所の水路のボックスの再整備や国道293号交差点の改善手法を検討している。
事業区間は終点部の国道293号交差点から一級河川荒川を渡河する連城橋手前まで歩道未設置区間の約600m。蒲須坂喜連川線との立体交差は、同区間中央部付近で佐久山喜連川線がオーバーパスしている。
蒲須坂喜連川線のボックス工は内空断面で幅10.0m、高さ5.6m。経年劣化が懸念され、今年度委託する詳細設計では、耐震性等を調査し現在のボックスカルバートが活用でき、盛り土部分の約2~3mを継ぎ足すのか、全面的に更新し再整備するのか、判断していくとした。更新に当たっては建築限界の4.7mを確保する。
また、同県道は水路3カ所がボックスカルバートで立体交差しており、同様に経年劣化が懸念されるため、現在進めている道路詳細設計で整備手法を固めていく。
国道293号との交差点は付加車線が設置されておらず、左折車両が滞留すると直進車両にも影響が大きいため、交差点形状を含め、左折フリーへの対応などを道路詳細設計で検討しているとした。道路詳細設計は、大日本コンサルタント(東京都豊島区)が担当している。
県は佐久山喜連川線の整備に当たり、29年度に市と協定を締結。役割分担について、道路拡幅による盛り土と盛り土部分の用地補償、植樹帯・歩道を含めた道路整備、防護柵等道路付帯施設は県。市は桜や法面部分の菜の花等の植樹帯の表土と植栽をはじめ、維持管理を担当する。桜の植樹帯は生育を保全するため、フラットな構造とし、道路両側に設置、片側で5.0mを確保するとした。
幅員構成は、中央の道路本体を10.5m、歩道は南側に2.5m確保する。車道部分は4.0m×2車線とし、このうち両側の路側帯は自転車の通行を考慮し1.0mずつ確保する計画とした。
事業化を見据え28年度、県は大日本コンサルタントに委託して概略設計を行った。29年度には市との「現場検証」に先立ち、一級河川荒川を渡河する連城橋付近から、終点部の国道293号まで約700mを対象に路線測量を実施。路線測量は、格和測量設計(矢板市)が担当した。
早乙女桜並木は、ソメイヨシノを中心に約100本の桜が500mにわたり盛り土した道路の両側の斜面上に植えられ、開花時は桜のトンネルのように連なる。シーズンには桜の下の見下げ部分の斜面に咲く菜の花との色合いを楽しむことができ、地元を代表する観光スポットになっている。
桜並木は大正14年春に青年団の奉仕作業として桜の若木が植えられ、昭和11年にはお丸山公園の設置に伴い、間伐して同公園に移植された。現在は成長し老木も目立つようになり、樹勢の衰えも著しく、移植が困難視されている。
佐久山喜連川線は現道6m程度で、喜連川地区中心部にアクセスすることができるため、朝夕の時間帯を中心に交通量が多い。市では喜連川小学校に通う児童の安全を確保するため、拡幅や歩道設置による通学路の対策箇所に位置づけるとともに、県に整備を要望していた。