JR線橋梁架替へ3案 鹿沼土木の武子川改修 沿川で圃場整備計画 交差部工法を今年度末決定へ
[2018/7/25 栃木版]
県は鹿沼市の一級河川武子川延長4320mの改修のうち、ボトルネックとなっているJR日光線橋梁の架け替えに向け、▽現河川の拡幅▽法線(バイパス)を振って線形改良し現河川は廃川▽現河川を残して付替え-3案を河川交差部の工法として提示していることが分かった。同橋梁は27年関東・東北豪雨で橋台が洗掘されており、列車運行の安全性を確保するため架け替えは必須とされている。県鹿沼土木事務所によると、JR側も調査設計を進めており最適な工法を選択し今年度末を目途に判断していく見通しを示した。沿川の農地は小区画水田となっており、このほどJR線交差部付近から上流の国道293号付近まで圃場整備の計画が市に申請され、河川改修と整合を図った計画が今後、立案されていく機運が高まった。
武子川は27年度補正で災害推進費の採択を受け、宇都宮市境から下流側700mの拡幅に伴う護岸工事を発注し、工事に着手した。下流区間700mについては橋梁や取水堰などの構造物は無い。同河川の改修計画によると、現況河川幅10~15mを標準断面で30mに拡幅するとしている。
一級河川武子川は、下流端を宇都宮市境の市道若林橋(鹿沼市深津)から上流端は主要地方道宇都宮鹿沼線バイパスの飯岡橋新橋(同千渡)まで4320mが対象。
県は同区間のJR日光線交差部について当初、約100m西側に河道を付替え、ミニバイパスを整備、新橋を架設する計画でJR東日本に打診。JR側は後年度の橋梁管理を行う立場から、なるべくコストのかからない方向で県側に整備を求めた経緯があり、再検討も含め協議・調整の中で、3案を提示したもの。交差部の工法の検討は建設技術研究所(東京都中央区)が担当している。
改修で架替える道路橋は、大日橋(鹿沼市道7034号線)、関口橋(同0354号線)、松の木橋(同0300号線)、無名橋(私道)に加え、主要地方道宇都宮鹿沼線のバイパス整備に伴い飯岡橋新橋を整備する。
同新橋はこれまでの検討で、橋長が63.0m。上下線分離のセパレート型(W11.75m×2)とし、2橋梁とも上部形式が鋼単純非合成I桁に決めた。下部工は2橋梁とも直接基礎逆T式橋台2基で、斜角65度の斜橋。同地の改修断面32.1mを見据え、諸元を固めた。
取水堰と樋門樋管は、市や利水関係者らと協議調整を行い、改善や必要に応じて統合などを検討していく見通し。現在のところ、下流側から萱野堰、栗木内堰、田中堰、白桑田堰の4カ所の整備が想定されている。
整備区間の計画流量は毎秒150立方mとし、概ね5年に一度の割合で発生する洪水流量に対応するため河川断面の拡大を行う。河川幅は現状の10~15m程度から約30mに拡大。沿川の土地利用計画と整合を図り、既設護岸を活用。主に東側に拡幅する形で、現況の瀬と淵などを可能な限り保全、生物の生息と生育環境を確保するとともに、植生を保全するとした。計画河床勾配は200分の1。
事前評価資料によると、河川の工事は築堤が約2万6000立方m、掘削が約18万3000立方m、護岸は約1万3000平方m。附帯工事では道路橋5橋を架け替え、JR日光線の新橋の整備を位置付けた。樋門樋管は24カ所、取水堰4カ所を改善する計画とし、路線測量や河道・構造物の詳細設計等で具体化していく。
同地の武子川はこれまで局部的な改修を行ってきたものの、抜本的な改修は行われていないことから、現況の流下能力が不足。市は武子川を放流先に千渡雨水第一幹線や千渡東雨水幹線の整備を進めてきており、豪雨時の流量が増加している。事業区間南端の若林橋から下流の宇都宮市での改修については、26年度に整備が完了しており、上流側の鹿沼市での改善の必要性が高まっていた。事業費には約46億円を試算している。