保呂羽浄水場を再構築 設計の指名入札、18日 官民連携手法も検討(宮城県登米市)

[2018/7/13 宮城版]
 宮城県登米市水道事業所は市内最大の浄水場、保呂羽(ほろわ)浄水場の再構築を計画し、本年度から2カ年をかけて設計業務をまとめる。7月18日に「平成30年度保呂羽浄水場再構築事業基本設計等業務」の指名競争入札を執行し、委託者を選定する。同浄水場は再構築に際し、ろ過方式を膜ろ過方式に変更する。登米市は再構築事業を民間企業と連携して行うことを模索しており、同業務では官民連携の手法なども検討する。

 登米市は保呂羽浄水場再構築事業基本設計等業務の委託に当たり、6月補正予算で委託料2660万円を確保した。併せて限度額1700万円の債務負担も設定した。期間は31年度まで。

 保呂羽浄水場(登米市登米町寺池道場80)は取水量が1日最大3万1300立方m、給水量が1日最大3万0700立方mで、市内の約85%に水を供給している同市最大の浄水場だ。敷地3万7000平方mに、1号~4号までの配水池4基(計1万4700立方m)や着水井、沈殿池、ろ過池などを保有している。昭和52年6月に完成し、建設から41年が経過している。

 施設の老朽化が進んでいる上、建設当時と浄水濁度の基準が変わってきたことなどの理由から、大規模な施設改修を行う。現行の急速ろ過方式を、より精度の高い膜ろ過方式に変更し、ろ過水濁度0.1度の基準を保つ。

 市は現在、同浄水場の老朽化診断を委託している。改修が必要な施設と継続使用できる施設を見極めた上で、改修が必要な施設については、今回委託する設計業務の中で基本設計などをまとめてもらう。

 市は今後の人口減少を勘案した給水量の適正化や保有する水道施設の維持管理に関し、29年度に水道事業経営戦略を策定した。この中で、保呂羽浄水場の再構築の方針も示している。同浄水場では取水の機能強化として、今春から下り松ポンプ場が稼動を始めた。多額の設備投資を行ったことから、再構築は移転改築ではなく、基本的に現地改築とする。

 浄水場を運転しながら、段階的に再構築する手法をとる考え。事業期間は設計着手から10年程度を想定している。

 地方公共団体の水道事業は、給水量の低下による収益減少や、維持管理コストの増加などが課題となっている。単独での運営から、民間の参画によって官民連携による運営を模索している団体が増えている。登米市でも保呂羽浄水場の再構築は、民間と手を組んで実施することを模索している。

 今回、委託する設計業務の中では、官民が連携して事業を進めるためのPFIなどの手法を検討し、そのための法的手続きなどをまとめてもらう。また、官民それぞれの役割を分析し、事業スキームなどを整理してもらうことにしている。

 市は現段階で、再構築した保呂羽浄水場を40年度ごろから供用する考え。それに向けて本年度から2~3年をかけて、設計業務のとりまとめや官民連携手法の検討などを進める。官民連携する場合は、参画事業者の選定なども行う方針だ。これらが順調に進めば、再構築の工事着手は33年度ごろになると見られる。

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