県立図書館の役割検討 新たな「知の拠点」検討会議(県教育庁)

[2018/7/10 千葉版]
 県教育庁生涯学習課が事務局を務める、「新たな『知の拠点』づくり有識者検討会議」が9日、県庁中庁舎の企画管理部会議室で開かれた。建て替えが検討されている県立中央図書館(千葉市中央区市場町11-1)について、知識基盤社会での「知の拠点」としてふさわしい施設とするため設置されたもので、第1回の今回は「新たな知の拠点について」がテーマ。会合は年内に計5回開かれる予定で、これらの総括は、策定中の基本計画に盛り込まれる見通しだ。

会合は年内に全5回が予定されている

会合は年内に全5回が予定されている

 第1回となった今回の会合では、8人の委員らへの委嘱状の交付や主査の選任からスタート。県教育庁の大木実次長はあいさつで、老朽化や現在の3館体制などさまざまな課題の解決のため、今年1月までに基本構想を策定するなどした経緯を説明。新たな施設を読書県「ちば」の中核をなす施設とするため、委員らに対し、忌たんのない意見をお願いしたいとした。

 主査に選任された、千葉大学副学長で附属図書館長の竹内比呂也文学部教授も、討議に先立ちあいさつ。戦後まもなく県が始めた移動図書館「ひかり号」の存在などを紹介した上で、各市町村の図書館があまり機能していなかった状況下で「知を得る喜び」を与える役割を果たしていたものの「今は当時とは違う」とし、図書館の役割を再考する必要があることに触れた。

 竹内主査は「図書館を普段利用しない県民にも理解を求める必要がある」とし「普段図書館を使う仲間内で論議し、自身が知っている範囲の、これまでのものに少し化粧をしただけのものにならないよう、県立図書館がなぜ必要かという『分からず屋』の立場で真摯かつ俯瞰的に議論してほしい」と委員らに呼び掛けた。

 会議は、先のプロポーザルで選定され、基本計画の策定支援業務を手掛けている図書館総合研究所(東京都文京区)が進行。基本構想で掲げられた新施設の役割と機能のほか、他県での事例などが説明されるなどした。

 

現在の県立中央図書館

現在の県立中央図書館

基本構想では[1]県内図書館の中枢としての役割[2]子どもの読書活動の推進[3]課題解決支援図書館[4]本県に関する資料や情報の蓄積・継承──といったこれまでの県立図書館の持つ役割に加え「[5]知の創造と循環を生み出す公共の場」としての役割を持たせるとし、博物館など関係機関との連携や、全ての県民が利用しやすく快適な社会教育施設とすることが提案されるなどし、これらに委員らがそれぞれの意見を加えるなどした。

 県はこれまでに、中央(千葉市)、西部(松戸市)、東部(旭市)の県立図書館3館について、1館に機能集約し、老朽化の進んだ中央図書館に替わる新たな県立図書館を整備することとしている。

 今年度策定する基本計画では、新たな県立図書館(公文書館機能など含んだ複合施設を予定)の整備に向け、施設の建設場所に関する調査・分析や必要な施設機能、機能別の必要面積の算出、施設構成、整備スケジュールなどを検討。8月に予定されている次回の同検討会議では新たな施設のあり方について討議する予定だ。

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