放射光建設地、決定 東北大キャンパス6haに 光科学イノベを選定
[2018/7/4 宮城版]
国内初の次世代型放射光施設が、東北大学青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に建設されることが7月3日、正式決定した。同施設の誘致を目指していた産学官の連携組織「光科学イノベーションセンター」らを、文部科学省が整備運営のパートナーとして選定した。同センターは今後、国の運営主体と連携しながら施設を建設していく。31年度中に着工し、35年度中の運用開始を目指す。
放射光施設の整備では、文部科学省の諮問機関・量子ビーム利用推進小委員会が6月28日に開いた21回目の会合で、光科学イノベーションセンターらが提出していた整備案を妥当とする報告書をまとめていた。これを受け林芳正文部科学相は7月3日、閣議後の記者会見で同センターらをパートナーに選定したことを明らかにした。
同センターは産学官が連携して放射光施設の誘致に当たってきた組織。宮城県や仙台市、東北大学、東北経済連合会も参画している。
同センターらの計画では、東北大学青葉山新キャンパスの敷地6haに、基本建屋や研究準備交流棟などを建設する。基本建屋内には電子を光速近くまで加速する実験施設の加速器やビームライン、中央制御室などを設ける。
7月3日に開かれた宮城県議会の常任委員会で、県の経済商工観光部は整備する施設や事業費、国などとの役割分担について説明した。加速器は円周が325~425mで、直径が100~135m程度を想定。国が整備を担当し、整備費は170億円程度を試算している。国の運営主体は「量子科学技術研究開発機構」で、今後、同センターらと整備に関する実務を協議していくことになる。
同センターらは基本建屋や研究準備交流棟などの建設を担当する。整備費は基本建屋が約83億円、研究準備交流棟が約25億円。敷地の造成費は約22億円を見込む。
ビームラインを5本整備する場合の総事業費は約360億円が見込まれる。このうち、国は最大で約200億円を負担。同センターらは最大で約170億円を負担する。同センターらは今後、民間などに参画を働きかけて事業費を確保する方針だ。
文科省は31年度予算で事業費を確保する方針。同年度中の着工を目指す。施設は5年程度かけて建設し、35年度中の運用開始を見込む。