2橋のロッキング橋脚対策 丸山橋耐震化へ設計 藤岡跨線橋は東武鉄道と協議(県道路保全課)

[2018/6/20 栃木版]
 県管理道路でロッキング橋脚を有する橋梁のうち、県は主要地方道栃木藤岡線藤岡跨線橋(栃木市)と同川俣温泉川治線丸山橋(日光市)の耐震補強対策に乗り出す。丸山橋が工法を検討する予備設計に着手したほか、藤岡跨線橋は東武鉄道と耐震化に向け協議を進めている。県道路保全課によると、丸山橋については予備設計で工法を複数案抽出し、最適な手法を決め詳細設計に移行、31年度の対策工事に備えたいとした。藤岡跨線橋は鉄道会社との役割分担を含め、今年度に方向性を決めたいとしている。丸山橋の予備設計は、パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)が担当している。

 ロッキング橋脚を有する橋梁の耐震化対策は、熊本地震による落橋・倒壊などの被害を受け、29年度から強化されたもの。これまでは落橋・倒壊を防止する対策(耐震性能3)に特化していたものの、同対策に加え路面に大きな段差が生じないよう、支承の補強や交換等を行う速やかな機能回復が可能な性能を目指す対策(耐震性能2)に移行した。

 特に、単独自立ができず、変位が生じると不安定となる特殊構造のロッキング橋脚については大半が、高速道路や直轄国道を跨ぐ跨道橋の橋脚に活用され、国は2次被害の防止等を目的に、概ね31年度までの3カ年で耐震補強を完了させるよう、全国の自治体等に要請している。

 対策工事では、▽複数のロッキング橋脚をコンクリートで覆い壁化する工法▽支承部を補強し2本のロッキング橋脚を合結して耐震性を確保する手法-などが挙げられ、丸山橋については予備設計で最適な工法を複数案抽出。詳細設計で工法を固め工事に着手していく計画という。

 藤岡跨線橋は、鉄道敷地内のため東武鉄道に設計・施工を委任するか、設計を県が担当し施工を委任するか、協議の中で詳細を詰め対策に着手していくとした。

 藤岡跨線橋と丸山橋は緊急輸送道路の橋梁で、藤岡跨線橋は平成17年度東武鉄道に委託し緩衝チェーンによる耐震補強対策を実施。丸山橋も27年度に緩衝ピンを用いた落橋防止対策工事を実施している。

 藤岡跨線橋は、昭和46年度に架設された橋長50.3m(W11.5m)で、東武鉄道日光線藤岡駅と静和駅の間に架設されている。鉄道と斜めに交差する斜橋(直線橋)で、上部形式が2径間連続鋼鈑桁。下部工は逆T式橋台2基と鉄道脇に2本の柱式橋脚(ロッキング橋脚)が床版を支えている。

 丸山橋は一級河川鬼怒川の支川を渡河し、急峻な山岳部の深い渓谷の斜面に沿った曲線橋。架設は昭和51年度で、川治ダム建設に伴い同県道の付替えにより整備された。橋長は48.0m(W7.0m)で、上部形式は鋼2径間連続合成箱桁。下部工は直接基礎逆T式橋台2基と中央部に2本の直接基礎柱式橋脚(ロッキング橋脚)としている。

 なお、東北自動車道を跨ぐ8カ所のロッキング橋脚を有する県管理道路の橋梁については、NEXCO東日本に委託し対策を進めている。

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