最優秀提案者は千都 土小学校を長寿命化モデルに(柏市)

[2018/6/20 千葉版]
 柏市教育委員会学校施設課は、土小学校(増尾4-4-1)の校舎長寿命化を目的とする改良工事に向けた設計業務を委託するための公募型プロポーザルで、千都建築設計事務所(千葉市美浜区)を最優秀提案者に選定した。同校は同市での校舎長寿命化のモデル校として選ばれ、以降の改良工事の指針となる見通し。委託の予定金額(上限金額)を7,400万円(税込)、履行期限に31年3月29日をそれぞれ設定しており、プロポーザルには同社を含め4者が参加した。

 今回のプロポーザルは、改修後40年の使用を目標とした「土小学校校舎長寿命化改良基本計画方針」に基づいて基本設計をまとめ、構造体の長寿命化やライフラインの更新などで建物の耐久性を高めるとともに、省エネルギー化やライフサイクルコスト(LCC)についての多様な学習内容と学習形態による活動が可能となる環境の提供など、現代の社会的な要請に応じた施設に整備するための実施設計まで進めるのが狙いだとしている。

 設計の内容は、躯体の老朽化対策(長寿命化)とライフラインの更新に加え、原則的に外壁改修や防水改修といった耐久性に優れた材料などの取り替えと、維持管理や設備更新の容易性の確保、多様な学習内容・形態による活動が可能となる環境の提供、省エネルギー対策を原則とする。

 このほか、室内環境の向上や校舎内装の木質化、トイレ・手洗い不足の解消、防災や省エネに有効な設備改良、屋内運動場付近へ防災倉庫の整備、各建物間や建物内のバリアフリー化、太陽光発電など屋上利用、仮設校舎計画などについて提案を求める。

 同校の校舎はRC(一部S)造3階建ての構造で、最も古い棟は昭和41年1月の完成。普通教室(20クラス)・特別教室および管理諸室に約4,400平方m、機械室・屋外倉庫などに延べ約200平方mをそれぞれ想定し、防災倉庫やふるさと資料室、エレベーター棟などの配置を計画。概算工事費を約10億円としている。

個別計画はファインコラボ研

 柏市教育委員会学校施設課は併せて、市立学校施設の個別施設計画を策定するための公募型プロポーザルで、ファインコラボレート研究所(東京都港区)を最優秀提案者に決めた。プロポーザルには同社を含め3者が参加。契約期間は31年3月29日まで、委託の上限額には2,800万円(税込)をそれぞれ設定していた。

 この業務は、同市の学校施設の約8割が築年数30年を超え、今後一層の老朽化や整備需要の増加が予測される中、安全性を確保しながら学校施設の中長期的な更新や維持管理に伴うトータルコストの削減、財政負担の平準化を図りつつ、学校施設整備指針をはじめ、文部科学省が提唱している学習環境・生活環境の機能性向上や適正規模・適正配置、エコスクール、地域コミュニティにおける学校施設のあり方などを踏まえ、効率的・効果的に施設整備を進める必要があることから、個別施設計画を策定することにしたもの。

 業務は、同市の小学校42校と中学校21校、高等学校1校とその施設に付帯する全ての設備を対象とする。29年3月に文部科学省から発行されている「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」に基づき、躯体の耐震診断結果や劣化度調査結果を含む学校施設の実態調査に始まり、現状の学校数の維持を基本に、適正規模に満たない学校と適正規模を超える学校について、それぞれ方策を検討する。

 これらに基づき、学校ごとに改築、施設長寿命化と大規模改修などについて条件を整理した上で、整備方針を決定・グループ化。グループ化は▽1期(~2025年)▽2期(~2035年)▽3期(~2045年)▽4期(~2055年)の期別に振り分け、実施計画を策定する。

 このうち1期分については、長寿命化改良工事のモデル事業として土小学校の基本方針を参考とする。

 加えて、近接校の施設共用化についても検討。共用化に向けた課題抽出やその効果について検討する。長寿命化改良を実施する学校については、計画をスタートさせる平成32年から20年間で整備を計画するとしている。

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