車道に自転車通行帯常設化 今年度に手引き改訂(県道路整備課)

[2018/6/14 栃木版]
 既存道路における拡幅改良や新設のバイパス整備に当たり県は、あらかじめ車道幅員に自転車通行帯を確保した整備手法に切り替えていることが分かった。29年5月に施行した自転車活用推進法を踏まえた対応で、県道路整備課によると、道路管理者の整備指針として活用している歩行者・自転車通行空間の手引きについても今年度中に改訂を行うという。道路交通法で自転車は車両との位置づけから車道の路肩部分に幅員1.0~1.5m程度の通行帯を確保、視認性を持たせるため青色の着色や矢羽根・文字・デザインなどで路面に標示している。同手引き書は改訂後、市町に配布を予定しており、今後は全県的に整備路線における自転車走行空間が増えていきそうだ。

 同法は、基本理念に自転車がCO2排出や騒音・振動を発生させない特性、災害時において渋滞を回避できる機動的な特性を有し、自動車への過度な依存を抑制。国民の健康の増進と交通の混雑緩和による経済的で社会的な効果が大きいことなどから、交通の安全の確保を前提に自転車による役割を拡大させ、利用頻度を上げていくため制定したもの。

 役割分担で国は、自転車の活用促進施策を総合的で計画的に実施。地方公共団体は国との役割分担を踏まえて、区域の実情に応じた施策等を実施するとしている。

 自転車利用のメリットである環境にやさしい、災害時の活用、健康増進・交通渋滞の緩和などから、普及に向け安全に通行できる自転車専用通行帯を確保、整備の必要性を促している。加えて、自転車道の整備等に関する法律では、道路管理者の自転車道整備事業を実施する義務を規定。社会資本整備重点計画でも、自転車道の計画的整備が促進されるよう、配慮して定めなければならないとしている。

 従前は歩行者・自転車通行帯として一体的な整備を可能としていたものの、自転車の性能の向上に比例するように、近年多発する自転車と歩行者との追突死傷事故等を契機に、分離する機運が高まってきた。

 自転車通行帯は、道路の両側に設けることを基本に、車道の左隅を一方通行で走行する。幅員は1.5m以上確保することが望ましいとされているものの、道路の状況等で確保が難しい場合は1.0~1.5mとすることができるとした。この場合、側溝の部分を除く舗装部分の幅員を1.0m程度確保することが望ましいとしている。

 本県では宇都宮市の自転車のプロチーム(宇都宮ブリッツェン)や古賀志山等を会場とした自転車ロードレース。鉄道駅を基点としたレンタサイクルも各市町で取り入れられているほか、那須町が観光振興などと呼応し自転車のまちとしてサイクリングイベントを実施するなど、通勤・通学利用も含め県内各地で自転車の利用拡大と普及が進んでいる。道路整備における自転車通行帯は今後一層、重要度が上がりそうだ。

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