30年度国庫公共下水道整備 24市町で総額92.2億円 長寿命化や耐震化 10市町が処理場施工

[2018/6/6 栃木版]
 県内市町が交付金を導入して実施する公共下水道整備における30年度の総事業費が、前年度比8.5%増の92億2599万円に上ることが分かった。事業を実施するのは、25市町のうち塩谷町を除く14市10町の計24団体。処理場の施設増設や長寿命化のための更新に加え、管渠を含めた耐震化対策が本格化。栃木市は27年度から、汚水管渠整備を内閣府の汚水処理施設整備交付金にシフト、岩舟地区を含め8億5000万円を投入し延べ10.2kmの進ちょくを図る。雨水対策では管渠の延伸に加え、調整池新設に伴い小山市など3市町で設計や工事、用地補償等を進める。処理場の改善では、宇都宮市や那須町など10市町が工事を推進していく。 =2面に施策別実施計画概要

 下水道整備に伴う交付金のうち、国土交通省の社会資本整備交付金(通常)を充当するのが、宇都宮市など13市9町で事業費は40億7595万円。25年度から同省が耐震対策や長寿命化のための更新などとして創設した防災・安全対策の同交付金では、小山市など10市6町で事業費が38億2003万円となった。地域再生計画に基づき汚水処理関係3省庁の整備を効率的に行うため、内閣府が創設した汚水処理施設整備交付金が栃木市など4市、事業費総額は13億3000万円となっている。

 主な事業では、市町村合併で旧町などを取り込んだ市に加え、事業導入が後発の町などでは面整備を推進するため、管渠整備の進ちょくを図る。宇都宮市は、河内・上河内地区を主体に整備を推進するほか、29年度からは内閣府の地域再生計画「宇都宮市清らかな水環境再生計画」を導入。河内・上河内地区の管渠整備とともに、川田水再生センターで汚泥処理施設の整備に着工する。

 足利市は水処理センター電気計装設備の改築や汚泥処理設備の耐震化・改築更新に着手。栃木市は認可区域の総体的な底上げを目的に、汚水処理施設整備交付金を充当。旧栃木市街地外縁部や大岩藤処理区における管渠の進ちょくを図る。

 汚水管渠の整備のうち小山市は、認可拡大に伴い延べ2.7kmの汚水管の整備を進めるほか、資源循環の形成に向け汚泥処理基本計画を策定する。佐野市や真岡市、下野市などでは道路新設、土地区画整理事業地内の管渠新設などの進ちょくを図るほか、未普及エリア解消に向け、高根沢町が宝積寺処理区の石末・中台地区延べ1650m(φ100~200)の面整備を推進していく。

 雨水管渠の整備では、栃木市が片柳町4丁目地内の浸水対策を目的に、調整池1基とともに永野川左岸1号雨水幹線(L540m)の整備に向け用地補償を継続するほか、小山市は豊穂川下流部における調整池の実施設計を進め用地補償に着手する。宇都宮市は奈坪川1号・越戸川1-3号の各雨水幹線延べ309mを計画した。

 処理場の整備では、宇都宮、足利、小山、真岡、那須塩原、さくら、那須烏山、壬生、那須、那珂川の10市町が前年度までに設計を完了し、耐震化や長寿命化対策工事を実施。このうち那須塩原市では黒磯水処理センター管理棟に続き、中央監視設備の改築更新工事に着手する。さくらは氏家水処理センター管理棟・汚泥棟の耐震化工事に着手、壬生では電気計装設備と沈砂池設備の更新工事を進めていく。

 東日本大震災を契機に、下水道施設の耐震化や施設の延命化を目指した長寿命化の取り組みが本格化。公営企業会計制度への移行を見据え、長寿命化対策はストックマネジメントに衣替えし、計画策定とともに緊急箇所から設備更新等を実施していく市や町が事業の主流に定着した。

 各市町の今年度の交付金別事業概要と事業費は次の通り。([1]社会資本整備総合交付金・通常[2]社会資本整備総合交付金・防災安全[3]汚水処理施設整備交付金、単位・万円)

▽宇都宮市=[1]汚水管渠工事、上河内水再生センター水処理施設増設(30~31年度)、河内水再生センター水処理・汚泥処理施設増設(29~30年度)、4億6460[2]川田水再生センター水処理施設改築更新工事(30~31年度)、河内水再生センター汚泥処理施設改築更新工事(29~30年度)、ストックマネジメント計画策定、雨水管渠工事L309m、管渠耐震化、9億9730[3]川田水再生センター浄化槽汚泥等受入施設整備工事(30~31年度)、汚水管渠工事、4億1000
▽足利市=[1]汚水管渠工事L490m、4200[2]管渠改築更新工事、足利市水処理センター電気計装設備改築更新工事、同汚泥処理設備改築更新工事、同汚泥処理設備耐震化工事、3億5020
▽栃木市=[1]雨水調整池用地補償、7500[3]汚水管渠工事L10.2km、8億5000
▽佐野市=[1]汚水管渠工事L6.6km、5億9000[2]ストックマネジメント計画策定、雨水管渠工事L250m、1億5059.6
▽鹿沼市=[1]汚水管渠工事L300m、2000[2]管渠改築更新工事L300m、雨水管渠工事L720m、ストックマネジメント計画策定、2億1880[3]汚水管渠工事L400m、4000
▽日光市=[1]汚水管渠工事、ストックマネジメント計画策定、3億3600
▽小山市=[1]汚水管渠工事L2.7km、汚泥処理基本計画策定、3億7000[2]雨水管渠工事L470m、調整池用地補償、調整池実施設計・ポンプ場基本設計、ストックマネジメント計画策定、扶桑水処理センター耐震化・改築更新工事(29~30年度)、7億8700
▽真岡市=[1]汚水管渠工事L1.4km、8544[2]雨水管渠工事L200m、真岡市水処理センター塩素混和池等耐震化工事、ストックマネジメント計画策定、1億7226
▽大田原市=[1]汚水管渠工事L880m、マンホール補強・管渠の可とう管化、1億8100
▽矢板市=[1]汚水管渠工事L1170m、7732.8[2]ストックマネジメント計画策定、3000
▽那須塩原市=[1]汚水管渠工事L770m、黒磯水処理センター管理棟建設工事(29~30年度)、2億9774[2]管渠耐震化、黒磯水処理センター中央監視設備改築更新工事(30~31年度)、雨水管渠工事L280m、2億2054.9
▽さくら市=[1]汚水管渠工事L50m、氏家水処理センター管理棟・汚泥棟耐震化工事(30~31年度)、同水処理施設増設工事、5億4282
▽那須烏山市=[1]汚水管渠工事L130m、南那須水処理センター塩素混和池耐震補強工事、2820[3]汚水管渠工事L280m、マンホールポンプ設置工事、3000
▽下野市=[1]汚水管渠工事L1.3km、1億1300[2]雨水管渠工事L280m、3000
▽上三川町=[1]汚水管渠工事L550m、4172[2]調整池整備工事、1億8300
▽益子町=[1]汚水管渠工事L1780m、2億2600
▽茂木町=[1]汚水管渠工事L120m、920
▽市貝町=[1]汚水管渠工事、1億
▽芳賀町=[1]汚水管渠工事L1290m、1億2000
▽壬生町=[1]汚水管渠工事L850m、7291[2]ストックマネジメント計画策定、雨水管渠工事L170m、水処理センター電気計装設備・沈砂池設備改築更新工事、3億0115
▽野木町=[1]汚水管渠工事L420m、ストックマネジメント計画策定、8500[2]雨水管渠整備実施設計、800
▽高根沢町=[1]汚水管渠工事L1440m、ストックマネジメント計画策定、2億6300[2]雨水管渠工事L190m、1億5000
▽那須町=[1]汚水管渠整備実施設計、1000[2]湯本浄化センター水処理施設・汚泥処理設備改築更新工事、同耐震化工事、1億1818.2
▽那珂川町=[2]小川水処理センター塩素触媒タンク耐震補強工事、管渠耐震化、2800

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