通学歩道優先整備は225km 県管理道路の歩道整備 29年度は11km完了 5年間で延べ77km、目標を達成

[2018/5/24 栃木版]
 県は管理道路における通学路の歩道整備で、優先整備区間1417kmのうち28年度に約14km、29年度の1年間で約11kmの整備が完了したことが分かった。優先整備区間の29年度末における延べ完了延長は約84%の1192km。残る225kmの整備が急務となっている。県は25年度から29年度までの5カ年で延べ75kmの整備を目標としてきたが、延べ77kmと目標を達成した。県道路整備課によると、32年度まで5カ年の県土整備プランでも延べ75kmを目標としており、優先整備区間の方針は変えずに、今後は同プランの指標に基づき整備を進めていく見通しを示した。

 県内市町の歩道整備に当たっては、道路管理者や学校・教育委員会、警察、PTAなどが連携し通学路の緊急合同点検を行う「通学路交通安全プログラム」に加え、道路整備促進期成同盟会主導により国に要望する「とちぎの道現場検証」の30年度継続も決定。同検証作業は、通学路の歩道整備を重点対策に挙げており、改善箇所に交付金を導入するため、県や市町など関係者が一体となって改善に向け活動していく仕組みも定着してきた。

 歩道整備における優先整備区間の設定は、選択と集中による早期の整備効果の発現が目的。具体的には、▽小学校から半径1km圏内で沿道に人家が存在し代替路線が無い区間▽24年度の実態調査に基づき1km圏外でも学童が徒歩で利用する区間-を重点整備区間に設定した。

 通学路の歩道整備で県は24年度まで、年間延べ30kmを目標に予算化を図ってきた。しかし、今後の整備対象箇所が沿道に補償物件が多く、時間と費用が嵩むことなどを理由に、整備方針を見直し、5年間の目標値を試算、年間延べ15kmとしたもの。25年度からの方針では、半径1km以内とする距離的な要因を継続、限られた予算を背景に、児童の安全確保の視点を重点化し徒歩圏を加えた。

 29年度末における整備延長は1192km(残延長225km)となり、整備率も84%に上がった。県管理道路における歩道設置は、通学児童など歩行者のみを想定した場合、幅員は最低2・0mに標識設置などスペースを含め2・5mを確保する。また、比較的交通量が少なく、用地買収の難しい箇所等を対象に、路肩に余裕幅を持たせて歩行者・自転車の通行を確保した「ゆうゆう路肩」も歩道整備に包含しているという。

 27年度末の優先整備区間における県管理道路の歩道整備完了延長は1167km。県土整備プランでは5年後の32年度に延べ75kmの目標を設定しており、達成すれば1267kmが完了し、整備率も89%(残延長150km)に上がる。

 県内の市や町では、道路管理者や交通管理者、教職員・PTAなどを交え、スクールゾーンにおける通学児童の交通安全対策について、実態調査を踏まえ検討を進めており、26年度までに全25市町が通学路交通安全プログラムを策定した。

 同プログラムにおける道路管理者が実施する改善箇所のハード対策には、歩道設置、路肩のカラー化、防護柵・ポストコーンの設置-などが挙げられ、用地買収の必要な歩道整備に国庫交付金を導入する場合、同プログラムに改善箇所として位置づけていく手法が定着しつつある。同プログラムでは、通学路の安全確保に向けた継続的な取組みをPDCAサイクルとして繰り返し実施、通学路の安全の向上を図っていくとした。

 また、新規事業化などを見据え、県と市町が協働し国に整備箇所として要望していく「とちぎの道現場検証」も全市町を対象に27年度から始まった。関係者が実際の現場を視察し、車両通行に対する危険性除去の手法などを検証していく。現場検証の対象路線には、児童・生徒が通学路として利用しているものの、歩道がなく危険な箇所が選定されるケースが大半。これまで検証を行った新規の路線では、県や市町等の道路管理者が国庫交付金充当を視野に調査に着手していく対応が見られた。

 土木事務所別主な歩道整備実施箇所は次の通り。([1]整備延長[2]総事業費[3]沿線小学校)

【宇都宮土木】

▽一般県道羽生田鶴田線・下欠下砥上工区(宇都宮市)=[1]L1130m[2]8億円[3]姿川中央小学校

【鹿沼土木】

▽一般県道板荷玉田線・菊沢西小工区(鹿沼市)=[1]L1300m[2]6億円[3]菊沢西小学校

【日光土木】

▽一般国道119号・御幸町工区(日光市)=[1]L330m[2]25億円[3]日光小学校

【真岡土木】

▽一般県道石末真岡線・西郷工区(真岡市)=[1]L1900m[2]9億8400万円[3]真岡小学校

【栃木土木】

▽一般県道安塚雀宮線・安塚工区(壬生町)=[1]L250m[2]7億円[3]安塚小学校

【矢板土木】

▽主要地方道大田原氏家線・大野工区(さくら市)=[1]L2100m[2]9億円[3]上松山小学校

【大田原土木】

▽一般県道滝沢野崎停車場線・中薄葉工区(大田原市)=[1]L850m[2]3億6000万円[3]薄葉小学校

【烏山土木】

▽一般国道294号・中山工区(那須烏山市)=[1]L770m[2]3億3000万円[3]七合小学校

【安足土木】

▽一般国道293号・田所町工区(足利市)=[1]L550m[2]7億5000万円[3]青葉小学校

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