今福浄水場と緑町配水場更新へ 方針決め水源調査 延命化困難で31年度設計へ(足利市)

[2018/5/25 栃木版]
 足利市は、今福浄水場(今福町545)と緑町配水場(緑町1丁目3780)の全面更新を検討している。今年度は基本設計の前段階として更新計画を策定。浄水場の取水量や施設の劣化状況、移転の必要性など総合的に判断し、更新整備の必要性が高まれば、新たな取水先を含め今秋にも水源調査や土質調査を委託する見通し。市上下水道部工務課によると、両施設とも経年劣化に伴い電気・機械設備等は新しい設備に更新しているものの、土木・建築関係は昭和5年の竣工時のものとし、スクラップ的な延命化が困難ならば、更新に向け31年度にも基本設計に着手する見通しを示した。更新計画は、日水コン(東京都新宿区)が担当する。

 今福浄水場は、地下水の豊富な一級河川渡良瀬川左岸の今福町地内に昭和5年12月に竣工した。同じ時期に竣工した緑町配水場と連携し、昭和の合併前の旧足利市内に給水している。用地面積が2万0624平方m、水源は集水埋渠2本により取水し、24年度認可値における施設能力は日量1万9000立方m。

 取水ポンプが水中ポンプ3台。着水井はRC造V200立方mと同V70立方mの2井で、接合井・ポンプ井が各1井、緑山配水場へは7台の送水ポンプ、大前水系は5台の直送水中ポンプを保有している。塩素滅菌室はS造47.4平方m、発電機棟がRC造216平方m。次亜塩素注入ポンプは、ソレノイド駆動の定量ポンプ6台で最大排出量が毎秒57ml。

 緑町配水場は、北側を主要地方道桐生岩舟線、南側はJR両毛線が東西に併走する足利公園北側の小高い丘陵(通称・水道山)に昭和5年12月に竣工。自然流下で市内に通水している。用地面積が1万1771平方m、RC造の接合井1井と直流100Vの緊急遮断弁(φ500、電動式仕切弁)を保有。配水池は、RC造で深さ3.6mの容量1700立方m3基を保有する総容量が5100立方m。

 更新計画は、これら2施設の更新に向け、土地の形状や施設条件などを考慮しながら基礎的な比較検討を行い、投資効果の高い更新事業の方針を策定することが目的。具体的には、▽敷地(事業用地)内において各施設群を更新するのに必要な用地面積の検討▽施設の更新工事や取付道路・造成などの付帯工事に伴う技術的課題の検討と整理▽概算事業費の算定-などとしている。

 今福浄水場の27年度における1日当たり給水量は1万2538立方mに落ちてきており、2本の集水埋渠のうち第2集水埋渠は廃止を計画。浄水場内にある第1集水埋渠(φ750、L356m)で日量1万9800立方mの水源能力を想定している。加えて、隣接する大前浄水場系と南部浄水場系を合わせた3水系の相互融通も考慮していくとした。

 今福浄水場は、膜ろ過や紫外線照射などクリプトスポリジウム対策が施されておらず、更新計画では処理設備設置の時期や方法の適否などを検討、適切なものを提示するとした。また、水質検査の履歴などから、現在の浄水処理方法の適性も検証するとしている。

 浄・配水場の更新は、既存施設と同一敷地内を前提とし、撤去再構築と並行運用の2パターンで、施工性や経済性などから比較検討するとした。撤去再構築は、浄・配水場すべての系列施設を停止して更新する場合とし、既存施設を撤去して同一敷地内に更新する。並行運用は、浄・配水場の一部の系列施設を停止して更新する場合で、隣接水系の運用または既存施設を一部稼働させながら、同一敷地内に更新するもの。

 今福浄水場はポンプ室、緑町配水場は配水池・接合井・計量室・水道山記念館がいずれも国登録有形文化財に登録されており、保全策なども検討していくとした。

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