堰堤維持と改良46億円 鬼怒川ダム事業概要 五十里ダムで堰堤改良 川俣ダムは主放設備修繕
[2018/5/17 栃木版]
国土交通省鬼怒川ダム統合管理事務所は、30年度の事業概要を公表し、五十里・川俣・川治・湯西川の4ダムの堰堤維持費に20億円、堰堤改良費には26億円を配分した。28年度からの継続事業を主体に、維持管理事業では川俣ダム主放流設備の修繕に当たり、固定用圧着シリンダーの更新や開閉用油圧シリンダーの分解整備を実施する。改良事業では、五十里ダム堰堤改良に伴い選択取水設備の新設と利水放流設備の更新を継続して進めるほか、川俣ダムは堤体を支える基礎岩盤の法面補強工事を行う。
川俣ダム主放流設備は昭和41年に完成し、50年以上が経過。29年度には経年劣化に伴い扉体内側の水密ゴムのひび割れの進行による水密機能の低下を防止するため、更新などを進めてきた。今年度は信頼性向上のため、ゲートの固定用圧着シリンダーの更新を行うほか、開閉用油圧シリンダーの分解整備を実施する。
工事は29年度に発注しており、30年度の発注見通しでは、放流警報設備の更新工事を第2四半期に予定、工期には6カ月を見込んだ。
川俣ダムでは29年度に、ダム下流左右岸の法面で基礎岩盤を安定化させる工事に着手。過去に施工したアンカーが劣化しているためで、今年度はダム直下の左・右岸の法面を実施する。維持修繕工事として法面保護300平方mの工事を第1四半期に発注、工期に7カ月を見込んだ。
五十里ダムの選択取水設備の新設と利水放流設備の更新は、27年度から30年度の4カ年で施工を計画。整備は、設備新設と更新の機械設備工事に加え、設備設置に伴い、堤体掘削やコンクリート工事を行う土木工事を実施。堤体の掘削・コンクリート工事は、28年度から着手しており、30年度は据え付け工事を第2四半期に発注する。
選択取水設備は、洪水時や渇水時など年間を通じてダムに流入する水量と水位が変化するため、ダム湖下層の濁水とダム湖上層の清水を選択し、きれいな水をダム下流に放流する。また、利水放流設備は、設置後50年以上が経過し、老朽化が進んでいるため更新を行うとした。
同ダムでは今年度、周辺部の補修工事を実施。工事は護岸補修工140平方m、根固めブロック設置300個、舗装工500平方mなどとしている。
五十里ダムでは堰堤改良に合わせ県企業局と連携し、維持放流を利用した水力発電所の整備を進めており、供用後は電力の一部をダム管理用電力として活用を見込んでいる。
川治ダムでは、濁水対策などとしてダム網場の据付を第1四半期に発注。第2四半期には、CCTV設備更新と貯水池等の土砂掘削工事を発注する予定。CCTV設備は、カメラ5台に加え、気象観測設備処理装置の据付と調整を行う。
このほかダムの維持管理として、本体の点検や設備等の保守に加え、ダム湖周辺の維持管理を行っている。また、流水管理については、台風などによる河川の増水を緩和する貯留や渇水期における下流河川への補給など流量の維持に努めている。