予備設計に総合評価併用 月内にコンサル指名 121号川治バイパス8kmを調査(日光土木)

[2018/5/2 栃木版]
 県は日光市川治地区の国道121号バイパスの道路予備設計に着手する。今月にも6者~10者程度の土木系建設コンサルタントを指名、総合評価落札方式を併用し6月中旬を目途に契約者を特定する。県日光土木事務所によると、予備設計ではルート、構造・規格、トンネル・橋梁等の構造物の位置と諸元、設計速度などを検討していくとした。今年度当初予算では、直轄権限代行事業導入に向けた調査として1億2400万円を配分しており、国道121号日光地区防災検討会の協議等を踏まえ、土質調査や構造物の予備設計などにも着手していく見通し。

 同地区の121号は、異常気象時等に通行規制が最も多い川治温泉地区を迂回する約8kmのバイパスを整備する案について、今年3月14日に開催した第1回防災検討会で了承した。

 約8kmのうち南北の異常気象時通行区間はトンネル2カ所、延べ4kmを新設するほか、並走する主要地方道川俣温泉川治線を利用し北進箇所には一級河川鬼怒川を渡河する橋梁を新設する。

 バイパスのルートは、主要地方道藤原塩原線(日塩有料道路)交差点北側から東側の丘陵部に法線を取り、既存の三ツ岩トンネル付近で現道に合流。同区間はトンネルとし、延長が約1km。三ツ岩トンネル北側では、分岐する主要地方道川俣温泉川治線を利用し既設の川治第一トンネルを活用しながら、北進し一級河川鬼怒川を渡河する。新橋の橋長は約300mを試算。鬼怒川渡河後は現道西側の山岳部を北上し、大半の約3kmがトンネルとなる。

 約3kmのトンネル区間は脆弱な地質構造に加え、野岩鉄道の葛老山トンネルが並走し交差するほか、五十里ダムと川治ダムの貯水を融通する導水トンネルや同川俣温泉川治線葛老トンネルと交差し、近接施工が想定され技術的難易度の高い工事が想定されている。

 県は121号以外に代替路のない川治温泉地区の整備優先度は高いと判断。特に、27年9月の関東・東北豪雨では15日間通行止めを余儀なくされた。121号は地域高規格道路に指定され、本県北西部を経由し、福島県会津地方や山形県米沢市とを結ぶ。川治地区のバイパスは国道121号の広域性と合わせ、防災検討会の協議等を踏まえて、直轄権限代行事業で整備するよう要望を決めたもの。

 道路予備設計の委託と合わせ、6月にも第1回防災検討会の決定内容等について地元説明会を開催する予定。また、地元説明会での実施状況等について7月にも予定する第2回防災検討会で報告する見通し。

 道路予備設計に続く地質・土質調査では、ボーリング等による地下水等の状況に加え、発破による弾性波探査を行いトンネルを掘削する地質構造等を把握する。

 構造物の予備設計では、橋梁の架設位置や形式などを検討。トンネルはNATMを前提に、坑口の位置とタイプなどを検討していく。バイパス予定区間には、オオタカやハヤブサなどの営巣も確認されており、任意の環境調査も検討している。

 同地の121号は、狭い上にカーブが連続、落石などの危険性も高く、川治温泉地区では歩道も未設置で、歩行者の安全性が課題視されている。加えて、冬期の積雪・凍結などの危険性と合わせ、抜本的な改善策として大規模なバイパス整備の必要性が検討されてきた。特に、優先整備区間として検討した約8km区間は防災点検の結果、災害危険箇所が全体の4割を占めているとした。

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