5件にICT活用工事 国準拠し舗装検討 検証行い対象数増加へ(県土整備部)

[2018/4/28 栃木版]
 県土整備部は30年度、当面5件にICT活用工事の試行を決め、工事内容に応じて今後は発注者指定型か施工者希望型の適用を確定していく。29年度は9件に適用し調整池や駐車場造成など5件を発注者指定型とした。県技術管理課によると、検証を行い条件を満たす案件については対象数を増やしていくとともに、直轄事業で始まった舗装工事への適用も検討していく見通しを示した。

 ICT活用工事は発注者指定型と、受注者が契約後、施工契約書の提出までに発注者へ提案し、協議が整った工事に適用するといったICT活用を任意に選択できる施工者希望型がある。

 県土整備部におけるICT活用工事試行要領によると、ICT土工を満たす条件として、[1]原則1000立方m以上の土工量を含む、法面整形工・掘削積込み・路体(築堤)盛り土・路床盛り土[2]生産性の向上が認められる工事[3]事業主管課との協議が整った工事-3項目全てを満たすものとしている。

 ICT活用工事は、[1]3次元起工測量[2]3次元設計データ作成[3]ICT建設機械による施工[4]3次元出来形管理等の施工管理[5]3次元データの納品-と一連の施工プロセスにおいて、ICTを活用するとしている。

 発注者指定型では、ICT活用を前提としているため、施工プロセスを進めていく上で、受注者の責任でICTを活用できなかった場合は、工事成績評定で減点するとした。施工者希望型は、契約時の受注者の選定に影響を与えないため、工事成績評定での減点は行わないとしている。

 積算方法についても、発注者指定型が当初の設計段階でICT活用工事として積算を実施するのに対し、施工者希望型では通常施工として積算を行い、施工者希望型として協議が整った場合、ICT活用工事としての積算に落札率を乗じた価格で速やかに変更するものとしている。

 県と発注先の県建設関連団体は29年2月、県i-Construction推進県部会を設立、実務者に近いレベルでの研修や情報交換などを通じて、ICT活用工事の普及と精度向上を目指したもの。同9月には新技術・新基準・講習会などの情報を一元的に集約するため、ホームページを開設した。

 県はICT活用工事の試行件数の増加とともに、29年度には各発注工事で柔軟な現場見学会を開催し、実際の測量や施工状況を把握。初級・中級などICT活用工事の理解度に応じた講習会を随時開催するとともに、今後実施する工事の効果と検証を行うほか、基準・精度・作業内容等の最新情報の蓄積と活用に努めていくとし、30年度も継続していくとした。

 ICT活用工事の29年度の実績と30年度の予定案件は次の通り。

《29年度》

【宇都宮土木】

▽主要地方道宇都宮向田線道路改良(調整池)工事(宇都宮市平出板戸)=約2500立方m、発注者指定型

【日光土木】

▽国道119号道路改良工事(日光市水無バイパス)=約2000立方m、発注者指定型

【真岡土木】

▽一級河川五行川掘削工事五行川その2・安全川補(芳賀遊水地)=約5000立方m、施工者希望型

【栃木土木】

▽一級河川思川河道掘削工事(小山市乙女・網戸)=約9000立方m、施工者希望型
▽一級河川思川河道掘削工事(小山市乙女・網戸)=約9000立方m、施工者希望型

【矢板土木】

▽一級河川荒川堆積土除去工事(さくら市松島)=約3000立方m、施工者希望型

【大田原土木】

▽一級河川蛇尾川堆積土除去工事(大田原市町島)=約5000立方m、発注者指定型

【烏山土木】

▽一級河川荒川堆積土除去工事(那須烏山市森田)=約5000立方m、発注者指定型

【総合スポーツゾーン整備室】

▽西駐車場造成工事(宇都宮市西川田)=約1万立方m、発注者指定型

《30年度》

【真岡土木】

▽一級河川五行川掘削工事五行川その3・安全川補(二宮遊水地)=約1万5000立方m
▽一級河川五行川掘削工事五行川その6・安全川補(芳賀遊水地)=約1万5000立方m
▽一級河川五行川掘削工事五行川その7・安全川補(芳賀遊水地)=約1万5000立方m

【大田原土木】

▽堆積土除去工事一級河川蛇尾川その1・減災河川(大田原市町島)

【烏山土木】

▽道路改良工事293号その6・快安道補(那須烏山市上川井)

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