仮設道路が今秋発注 大和町で嘉太神ダムを改修 県仙台振興の新規事業
[2018/4/27 宮城版]
県仙台地方振興事務所は、本年度から嘉太神(かだいじん)ダムの改修工事を進める。同ダムは黒川郡大和町吉田地区にある農業用のため池で、老朽化している。34年度までかけて改修する計画だ。総事業費は4億円を試算。30年度は1億5000万円を投入し、ダム改修の実施設計業務や、仮設道路と底樋の工事などを進める。仮設道路の整備工事は10~11月に発注する見通し。
同ダムは主に土を用いたアースダムで、堤長101m、堤高27mの規模。総貯水量は85万4000立方mで、有効貯水容量が71万9000立方m。昭和31年に完成してから60年以上が経過し、洪水吐などのコンクリート構造物が特に傷んでいる。
ダムの改修に向け、現在は土地改良法の手続きを進めている。6月には実施設計業務を一般競争入札で委託する考え。同業務は履行期間が約9カ月で、概算業務規模が1000万円以上。
仮設道路は、県道升沢吉岡線から大型車両が進入できるように整備する。対象延長は約1kmで、既存の道路を拡幅し、幅員5mを確保する。拡幅用地は国などから借り受けるため、改修事業が終わった後に道路を元に戻す。
底樋は、土砂吐を兼ねたコンクリート製の取水用施設。馬蹄形のトンネルでゲートの中を通り、吉田川から取水している。延長は116mで、高さが最高3m20cm。全面交換ではなく、部分的な補修を考えており、劣化度が進んでいるようなら管を入れることも検討する。
31年度以降は、ダム全体の堆砂を撤去するほか、取水施設のゲート交換、底樋のゲート補修、洪水吐の補修などを進める。底樋のゲートは堆砂で開かないため、取水はできるが維持管理できない状況になっている。洪水吐は部分的なコンクリートの剥がれや、クラックなどが発生している。
同ダムの改修に向けては、基本計画作成業務をNTCコンサルタンツ(東北支社・仙台市泉区)、事業計画補足資料作成業務を仙台土木設計(仙台市青葉区)、環境配慮基礎調査業務をエヌエス環境(東北支社・仙台市宮城野区)に委託した。
同ダムの整備目的は、かんがい用水と洪水調節。建設当時の受益面積は大和町と黒川郡大衡村の650ha。施設管理は「吉田川流域溜池大和町外2市4カ町村組合」が担っている。