36年度開通目指し槌音 圏央道大栄~横芝間で起工式(国交省ら)
[2018/3/20 千葉版]
首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の大栄ジャンクション(JCT)と松尾横芝インターチェンジ(IC)間の整備が着工することとなり17日、千葉県成田市川上地区の現場で起工式が執り行われた。当日は森田健作知事や国会議員をはじめとする多くの来賓が駆け付ける中、施工中の無事故無災害を祈り、鍬入れなどが滞りなく行われた(写真)。同区間は用地取得が順調ならば、という条件付きではあるものの、36年度の開通を目指し、作業が今後本格化する見通しだ。
式ではまず、主催者を代表して国土交通大臣政務官を務める秋本真利衆院議員が登壇。圏央道が首都圏の渋滞解消のみならず、地域経済の活性化や観光振興、防災機能強化を目的とする三環状道路の一環として整備されていることに言及。昨年茨城県区間の全線が開通し、その約9割が完成、東関東自動車道から東名高速道路までの6つの放射道路が結ばれたことを説明した。
秋本政務官は、開通後の沿線市町で、大型物流倉庫など企業立地が進み、地域の雇用や税収が増加するなど、ストック効果が発現しているとし、今回の起工により、銚子漁港に水揚げされる水産物や、茂原市内での精密機械部品の輸送効率化に加え、成田空港から房総半島へのインバウンドの周遊促進を図るなど「効果の高い圏央道について、国交省としても早期の全線開通を目指し、用地取得など地域住民の協力を得ながら、財政投融資の活用も含め、事業を推進していきたい」と決意を示した。
続けて、圏央道の建設促進期成同盟会の会長でもある森田知事があいさつ。圏央道が「東京湾アクアラインと一体となって、首都圏における交流連携の強化と、防災力の向上のために欠かせない道路」であるとし、これまでの整備でも県内経済の好循環をもたらしていると喜び、成田空港への第三滑走路の整備などにより、年間50万回の発着が目指されることが決まったことも踏まえ、その効果が全県に及ぶよう、県としても30年度の道路ネットワーク事業予算を大幅に増額計上するとともに、沿線市町とともに用地取得を進めるため、新たな組織を立ち上げることも計画していることを明かすなどした。
来賓からはこのほか、林幹雄衆院議員や森英介衆院議員、富田茂之衆院議員、長浜博行参院議員、石井準一参院議員、猪口邦子参院議員、元榮太一郎参院議員がそれぞれあいさつし、祝意と期待を寄せた。鍬入れではこれら来賓に加え、国土交通省関東地方整備局の泊宏局長や、東日本高速道路(NEXCO東日本)の廣瀨博代表取締役、沿線市町の首長らも駆け付け、鍬を振るった。
圏央道千葉県区間約95kmのうち、未開通のままだった大栄~横芝(成田市吉岡~山武市松尾町谷津)の18・5km区間は、平成20年1月に都市計画決定し、環境影響評価などに着手。車線数は4車線、設計速度は時速100kmでそれぞれ計画しており、構造別延長は土工部16・2km、高架部1・7km、トンネル部0・6kmとなる見込みだ。
同区間の整備を含めて国交省は昨年12月、現下の低金利状況を生かした40年という超長期かつ固定の、合計1兆5, 000億円に及ぶ財政投融資を決定。大栄~横芝間の新規整備だけでなく、暫定2車線で供用している大栄JCT~久喜白岡JCT間も4車線化事業に着手し、34年度から順次供用させて36年度の全線供用を図るとしている。