横町橋下流部に高潮堤 椎津川整備計画で原案

[2018/3/15 千葉版]
千葉県市原市内を流れる椎津川の川づくりについて話し合う、第4回となる「椎津川流域懇談会」(座長・小田晃日本大学生産工学部教授)が13日、市原市の姉崎保健福祉センターアネッサで開かれた(写真)。当日はこれまでの整備状況について説明があるとともに、同水系の河川整備計画の原案が示された。整備は未改修となっている河口から横町橋までの区間と、上流の岡田橋から不入斗川(いりやまずかわ)合流点までの区間を対象とし、河床掘削や堤防の嵩上げを、おおむね20年で進めるとしている。

IMG_0614椎津川流域懇談会は、昭和50年代以降にたびたび浸水被害をもたらした同河川の整備計画について検討するもの。平成19年12月に第1回の会合が開かれて以降、21年3月までに計3回開催され、今回が9年ぶりとなる。

事務局を代表して冒頭にあいさつした県土整備部市原土木事務所の御園直樹所長は、開催に至る経緯を説明した上で、局地的豪雨が頻発する傾向にある中、あらためて計画について意見をいただきたいと委員らに呼び掛けた。

原案によると洪水対策に伴う整備は、県が管理する流路7・1kmのうち、改修を済ませた中流域の横町橋~岡田橋間を除いたその下流部(1,683m)と上流部(330m)を対象とする。

下流部の河口~横町橋では2カ所に分け、河口~JR内房線下流間1,230mで、高潮堤整備と河床掘削を、JR内房線~横町橋間453mでは高潮堤整備をそれぞれ進める。

河口~JR内房線下流間では、約50mの河川幅に対し、年超過確率50分の1規模の流下能力として「毎秒250立方m」を確保するため、計画高潮位に余裕高を加えた高潮堤防として特殊堤を整備し、堤防の高さ不足を解消。河床は堆積した土砂を2割の法勾配で掘削する。

併せてJR内房線~横町橋間は、約30mの河川幅に対し計画高潮位に余裕高を加えた特殊堤を整備する。

一方、上流部の岡田橋~不入斗川合流点間では、流下能力として年超過確率10分の1規模の「毎秒95立方m」の確保に向け、河床掘削のほか河道拡幅を予定。下流への影響を考慮して堤防高は計画高水位とし、水辺へのアクセスのしやすさや、洪水時の流速を緩やかにするため河岸改修部の法勾配は2割程度とする。同区間ではこれらに併せ、橋梁改築なども検討する。

原案は今後、庁内での手続きを進めた上で、地元の市原市にも意見を聴き、国の認可を経て計画として成案する。30年度は特に浸水被害が起こりやすいという上流部の測量などから着手する方針で、できるだけ早い成案を目指す考えだ。

市原市深城付近を源流とする椎津川は、深城川と不入斗川が合流する不入斗付近を上流端とし、途中で片又木川と合流しながらJR姉ヶ崎駅前の市街地を流下。工業地域である姉崎海岸付近で東京湾に注ぐ流路延長7・1km、流域面積21・41平方kmの二級河川で、流域の土地利用は市街地や山林、ゴルフ場で約80%を占め、中流~下流に市街地が集中している。

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