県庁前~青葉病院前 モノレール延伸計画を再検証(千葉市)
[2018/1/31 千葉版]
千葉市都市局交通政策課が、21年7月から凍結していた千葉都市モノレールの県庁前駅~市立青葉病院前駅(仮称)の延伸計画について、内容を再検証するため、30年度の当初予算で事業費を要望していることが明らかになった。再検証に当たっては、構想のみあった穴川駅~稲毛海岸駅間についても検証する予定で、予算が確保できればそれぞれあらためて事業費や費用対効果、実現可能性などを求め、延伸の是非を政策的に判断、追って基礎調査まで実施するかの検討材料とする考えだ。
総延長約15.2kmで運行し、懸垂型のモノレールとして世界最長の営業距離を誇るという千葉都市モノレールのうち、千葉みなと駅~千葉駅~県庁前駅を結ぶ1号線は、現在終点となっている県庁前駅が、市立青葉病院までの建設計画の途中の駅の扱いとなっており、暫定開業している状態となっているが、市の財政状況が好転するまで当分の間、凍結するとしていた。
一方で市は、21年10月に発表した「脱・財政危機宣言」を29年9月に解除。財政健全化の見通しが立ち、延伸についての議論が議会の一部から出てきたことから、再検証が必要と判断したという。
16年3月に「千葉都市モノレール評価・助言報告書」が提出された以降は、市と県、モノレール会社間で経営検討協議会や県市連絡調整会議を通じ、会社の経営改善を第一義的課題として取り組むことを確認。16年度にはまた、市が延伸計画について、県が会社再建計画について、それぞれが主体的に調査を実施していた。
16年度の調査で市は、延伸計画調査を進めるに当たり、基本的な考え方として▽15年度調査で既決定ルートと千葉大南側、北側ルートを総合的に比較し、優位性が示された千葉大南側ルートの実現化に向けた検討を行うこと▽県庁前駅から市立青葉病院前駅間に中間駅は2カ所とすること▽構造上、千葉みなと駅から市立青葉病院前駅での折り返し運転とすること▽コスト縮減の検討や15年度調査結果を踏まえた基本需要の見直しをすること▽高齢化社会や環境面における長期的視点に立って、公共性、公益性などの面から必要性を整理すること──に視点を置いて実施された。
この調査により、新ルート(千葉大南側ルート)で市立青葉病院まで延伸すると、1日約8800人の利用者増が見込まれ、会社経営にも寄与するという結果が出されている。
同段階でのルート案ではこのうち、千葉大学南側ルートと、既決ルートだった「末広ルート」という2ルートで比較検討。千葉大学南側ルートは約1.9kmの延伸で、京成線とも離れており鉄道不便地域解消効果が期待されるとともに、千葉大学病院の近くに駅が設置できるため、病院利用者のアクセス性が高いとされた一方、急曲線が多い上に県庁前駅を改築する必要があり、特許や事業認可の手続きをやり直す必要があるとした。この当時試算された同ルートの建設費は179億円。
一方の千葉寺駅を経由する約3.6kmの末広ルートは、京成線と多くの部分で並行する上、大学病院のそばに駅が設置できないとデメリットがある一方、急曲線が少なく県庁前駅も現状のまま利用が可能で、事業認可の手続きも完了しているとした。建設費は当時で285億円を試算している。
市ではモノレールの延伸計画を再検証するに当たり、30年度当初予算の編成で、2000万円の事業費を要望している。