栗駒ダムで堆砂対策 土砂撤去へ 32年度に新規事業化(県北部振興)
[2018/1/31 宮城版]
県北部地方振興事務所は栗原市栗駒沼倉地区で、栗駒ダムに堆積した土砂を本格的に撤去するとともに、堆砂防止対策を施す。すでに沼倉2期地区の県営ため池等整備事業で、一部の土砂撤去に着手しているものの、まだ相当量が残ることから、3期事業での撤去と堆砂対策を計画。3期事業は30年度から31年度までかけて計画を策定し、32年度の新規事業化を目指す。初弾の基本計画作成業務は、2月15日に一般競争入札を開札して委託する。
栗駒ダムは、農地災害を防止する目的で、昭和25年から36年にかけて、一級河川三迫川の上流に整備された。洪水調節、かんがい用水、発電の機能を備える。型式は重力式コンクリートダム。堤高は57.2m、堤頂長が182m、堤体積が119.8立方m。
総貯水量は1371万5000立方mで、有効貯水容量が1275万8000立方m。計画高水量は毎秒550立方m。最大放水量が毎秒50立方mとなっている。
ダム内への土砂は、20年に岩手・宮城内陸地震が起き、栗駒山が崩れたのをきっかけに、急激に堆積するようになった。沼倉2期事業は、取水塔を更新するとともに、取水塔周辺の土砂2万立方mを撤去する計画としていた。
沼倉2期の事業期間は21~30年度。すでに取水塔の更新は完了済み。土砂撤去は当初の想定より工事費がかさむことが分かったため、2万立方mまでは撤去しない見通し。28年度に7000立方mを撤去し、29年度は5000立方mを撤去中。30年度は5000立方m程度の撤去工事を発注する考えだ。
撤去工事は現在、新総建設(東北支社・多賀城市)が請け負っている。県北部地方振興事務所栗原地域事務所によると、最近はダム湖に氷が張って船が移動しづらくなっているため、土砂撤去が思うように進んでいない。
3期事業に向けた最初の基本計画作成業務は、29日付で入札を公告。業務内容はダム堆砂防止計画とダム堆砂撤去計画の策定。予定価格は2034万4000円。履行期限は3月28日までだが、31年1月25日までに延長する見込み。
入札の参加資格は、県内に事業所を置き、建設コンサルタントの農業土木A等級で、かつ建設コンサルタントの土質および基礎と、河川、砂防および海岸・海洋の資格承認を受けていることなど。参加申請は2月9日まで受け付ける。
堆砂防止対策は、上流側に砂防堰堤を造り、ダムへの土砂流入を食い止めることが有効と考えているが、具体的には基本計画をまとめる中で決める。撤去量や今後のスケジュールも基本計画で定める。