県立図書館 建て替えへ 場所、規模を検討(県教育庁)
[2018/1/19 千葉版]
県教育庁生涯学習課が策定を進めていた「県立図書館基本構想」が17日にまとまった。先月から実施していた同案のパブリックコメントを経て、現状3カ所にある県立図書館機能を1館に集約することなど、大意は案のまま生かされることとなった。順調に進めば、30年度は早々にも建て替えに向けた基本計画の策定支援を委託する手続きを進めるとともに、有識者会議での意見も反映させるなどしていく。構想内で「県の中央」とした新図書館の建設場所や、必要な建物規模を盛り込んでいく考えだ。
県立図書館は現在、中央図書館(千葉市中央区市場町11-1)のほか、西部図書館(松戸市千駄堀657-7)と東部図書館(旭市ハの349)の3館体制だが、これらを合わせても蔵書の保管が容量の90%超に達するなど限界状態にある。
加えて、昭和43年の建設で築50年が経過するなど老朽化している上、増築が重ねられた中央図書館(地下2階地上5階建て延べ6171平方m)は、先の調査で耐震補強が困難と判定されており、3館の合計延床面積約1万3000平方mを上回る規模の建物が必要だと見込まれている。一方で、高さ制限もあることから、現在地での建て替えは事実上厳しい状況となっている。
今後はこれら場所や規模のほか、先に策定した県公共施設等総合管理計画も踏まえ、PFIなど民間活力導入の導入や、類似施設との複合化、バリアフリー化も検討していく。
基本構想では、現状と課題として▽市町村への支援▽子どもの読書活動の推進▽知識基盤社会における地域の発展を支える情報拠点▽県関係資料の計画的収集・提供・保存▽社会の変化に対応した図書館サービスの推進▽書庫の狭あい化と資料の廃棄▽中央図書館の老朽化と耐震不足の問題──の7つを挙げた。
基本理念とでは県立図書館に望まれる役割と機能として、県内の図書館の中枢としての役割のほか、子どもの読書活動の推進や課題解決支援機能、県に関する資料や情報の蓄積・継承、知の創造と循環を生み出す公共の場などを掲げている。
施設整備に当たっては[1]中央図書館を改築した上での3館体制の維持[2]中央図書館を廃止してその機能を残る2館に分散(2館体制)[3]中央図書館を改築して残る2館の図書館機能を中央に統合(1館体制)──の3パターンを比較検討。
資料の集約によるワンストップサービスが可能となることや、人的資産である司書の集約による機能の強化、施設の集約による効率化とコストの削減効果から、1館体制として機能を集約、向上させるのが望ましいとした。
このうちコストの削減面では、今後30年間の運営コストを比較した場合、2館体制の場合と比べて約10億3000万円、3館体制の場合とでは、約73億3000万円の縮減が可能だと試算している。
運営についてもまた、知識や経験を持つ司書の確保という観点から、指定管理者制度は適さないとしつつ、施設の維持管理など個々の業務ではコストの縮減が図れる可能性もあるとし、整備手法と併せて検討していくとした。
基本構想の策定に当たっては、28年2月の県公共施設等総合管理計画で、今後30年間で県有施設の延床面積を15%削減させることが掲げられ、同年7月の「公の施設の見直し方針」では、現行の3館体制について機能集約を含めて継続して検討するとされた。
今年度は「県立図書館の今後の在り方検討事業」として、8月にプロポーザルで特定された図書館総合研究所(東京都文京区)に業務を委託。機能集約については県が10月の生涯学習審議会に諮問し、先月13日付で答申を受けるなどしていた。
県ではこのほか、1館体制となった場合に残る西部、東部両図書館の存続などについて、それぞれ地元の松戸市、旭市とも協議していくとしている。