新年度から1.1ha造成 大島に観光・交流拠点(気仙沼市)
[2018/1/12 宮城版]
気仙沼市は、大島ウェルカム・ターミナル(仮称)の整備に向け、30年度に敷地の造成工事と、施設の詳細設計業務を発注する方針だ。施設は市が約420平方m規模のウェルカム施設や、駐車場などを整備するほか、民間事業者に1000平方m程度のモール施設を建ててもらう。県が近隣で進める防潮堤や県道大島波板線の整備工事と調整しながら、31年度のターミナル完成、32年度早期の供用開始を目指す。
ターミナルは、大島の浦の浜地区に整備する。浦の浜には県が海抜7.5mの高さで防潮堤を築くため、その背後を盛土し、同じ高さにターミナルを配置する。造成面積は1.1haを計画しており、現地盤からは5.9mほど盛土する。造成の実施設計・用地測量・地質調査業務は三協技術(仙台市青葉区)が担当している。
ターミナルの整備計画はパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)が作成した。計画では、ウェルカム施設とモール施設、駐車場、バス停留所、広場でターミナルを構成する。
ウェルカム施設は、160平方m程度を販売スペース、75平方m程度を待合・観光案内情報スペース、100平方m程度をカフェや会議室などの多目的スペース、25平方m程度を事務室・倉庫、60平方m程度を屋内トイレに活用する。
モール施設は、震災で被災した商店街の再建を念頭に、6店舗の出店を想定しており、今後に整備・運営事業者を募る。具体的な施設規模や店舗構成、販売内容は詳細に検討した上で決める。
駐車場は1200平方m程度で、これとは別に臨時用として2000平方m程度のスペースを確保する。広場は、ターミナル施設から防潮堤を挟んだ臨港道路までの間に、県が緑地公園を整備する。
ターミナルの整備スケジュールは、年度内に造成工事費の財源となる復興交付金を申請し、用地を取得した上で、8月ごろから施設の詳細設計、10月ごろから造成工事、31年10月ごろから施設整備工事を進める見通し。
大島には気仙沼本土と結ぶ気仙沼大島大橋が30年度末までに架かり、車での往来が可能になるため、フェリー乗り場がある浦の浜漁港の背後に、交通結節拠点のターミナルを整備することにした。
浦の浜防潮堤は今月に現地着工
県は、大島ウェルカム・ターミナルの西側に浦の浜地区防潮堤、北西側に礒草地区防潮堤を整備するほか、北側に県道大島浪板線を新設する。防潮堤の工事は、浦の浜を小野良組(気仙沼市)、礒草を橋本店(仙台市青葉区)が請け負っており、今月に現地着工する予定。今後は別途、陸閘1基と緑地公園の整備工事を発注し、31年度の全体完成を目指す。
浦の浜の防潮堤は、ターミナルの前面に2割5分勾配で延長209mを整備するほか、やや離れた南側に延長68mを設ける。磯草の防潮堤は、2割5分勾配で延長258mを整備する。背後は盛土して県道大島浪板線を通し、道路との兼用堤とする。
県道大島浪板線の整備は、気仙沼本土と大島を結ぶ大島架橋事業として延長8kmの道路新設を進めている。30年度末までには、本土の浪板橋から、海上の気仙沼大島大橋を経て、大島の県道大島線(磯草地区)までに至る延長5.5kmが開通する見通し。残りは本土側の1kmが31年度、大島側の1.5kmが32年度の完成を予定する。
今後に道路新設工事を発注するのは、大島側が、礒草地区の県道大島線との接続地点から、磯草兼用堤の手前までに至る延長約800m区間と、兼用堤から浦の浜地区の県道大島線(現道)までに至る延長約700m区間。兼用堤の手前までに至る区間は切土量に約30万立方mを見込む。兼用堤から先は盛土が中心となる。本土側は、東八幡前地区の国道45号から浪板橋までに至る延長1km区間を今後に発注する。